エンタメ
Posted on 2025年12月21日 08:00

これはハマるかも!近距離運賃だけで「JR大回り乗車」の小さな旅を200%楽しむ「乗り換え・車窓変化・駅弁・駅ナカ」

2025年12月21日 08:00

 年末年始の休みには特に予定もなく、時間だけを持て余している。そんな時に意外とハマるのが、JRの「大回り乗車」だ。
 これはJRの近郊区間エリアの中で使える乗り方のひとつ。出発駅と到着駅がこのエリアに入っていれば、必ずしも最も近いルートを通らなくてもいい。同じ駅を二度通らず、途中で改札を出なければ、どんな経路を選んでも、運賃は最短ルート分のまま。特別なきっぷは必要なく、基本は普通の近距離きっぷで利用できる。ICカードでも成立するが、長時間の利用では有人改札での対応が必要になることがある。

 仕組みだけを聞くと少し裏技っぽく感じるかもしれないが、これは抜け道でも不正でもなく、JRのルールの中できちんと認められている乗り方だ。知っているかどうかで、電車の楽しみ方が少し変わる。

 この仕組みが用意されている背景には、都市部の路線の複雑さがある。同じ区間で通り方はいくつもあり、そのたびに運賃が変わると分かりにくい。そこで近郊区間内では、運賃は最短ルートに統一し、どの道を通るかは利用者に委ねる。大回り乗車は、そんな考え方の延長にあるのだ。

 そしてこのルールの面白さは、移動そのものがちょっとした旅になるところにある。普段は乗らないローカル線に揺られたり、見慣れない街並みを車窓から眺めたりするだけで、気分が切り替わる。目的地へと急ぐ必要はない。次はどの路線に乗ろうかと考える時間が、楽しみへと変わる。

 東京近郊での一例として、景色の変化を楽しめる、両毛線と水戸線をつなぐルートを紹介したい。
 スタートは池袋。湘南新宿ラインで一気に北へ向かい、高崎まで進む。都心を抜け、次第に視界が開けていくこの区間だけで、気分が変わる。高崎からは両毛線に乗り換え、栃木と群馬の平野部を横断。車窓には住宅地や畑が続き、桐生や足利の街並みが窓の外を流れていく。派手さはないが、のんびりとしたローカル線らしい空気が心地いいのだ。

 小山で水戸線に接続すると、今度は進路を東へ。沿線には広い空と田園風景が広がり、都市部とは違う時間の流れを感じられる。友部で常磐線に乗り継げば、旅は終盤へと突入。
 最後は常磐線で上野へと向かう。ローカル色の濃い区間から、再び都市の景色へ戻っていく流れは、このルートならではの面白さといえる。

 この行程でも、使うのは池袋から上野までの近距離運賃だけ。ICカードなら180円に満たない金額で、半日以上の電車旅が成り立つ。特別な観光地を目指すわけではないが、「移動そのものを楽しむ」大回り乗車らしさを味わえるルートではないか。

 乗り換えの合間に駅構内でひと息つけるのも、大回り乗車の楽しさだ。カフェで休んだり、駅弁やご当地スイーツを買って車内で味わったりするのも楽しい。改札を出ない範囲で駅ナカを組み込むだけで、旅の満足度はぐっと高まるというもの。

 遠くへ行かなくても、身近なエリアの中にはまだ知らない路線や景色がたくさんある。近距離きっぷ1枚から始まる、少しだけ遠回りの電車旅。この冬休みはそんな過ごし方を試してみてはいかがだろう。

(ケン高田)

全文を読む
カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    社会
    2025年03月23日 05:55

    胃の調子が悪い─。食べすぎや飲みすぎ、ストレス、ウイルス感染など様々な原因が考えられるが、季節も大きく関係している。春は、朝から昼、昼から夜と1日の中の寒暖差が大きく変動するため胃腸の働きをコントロールしている自律神経のバランスが乱れやすく...

    記事全文を読む→
    社会
    2025年05月18日 05:55

    気候の変化が激しいこの時期は、「めまい」を発症しやすくなる。寒暖差だけでなく新年度で環境が変わったことにより、ストレスが増して、自律神経のバランスが乱れ、血管が収縮し、脳の血流が悪くなり、めまいを生じてしまうのだ。めまいは「目の前の景色がぐ...

    記事全文を読む→
    社会
    2025年05月25日 05:55

    急激な気温上昇で体がだるい、何となく気持ちが落ち込む─。もしかしたら「夏ウツ」かもしれない。ウツは季節を問わず1年を通して発症する。冬や春に発症する場合、過眠や過食を伴うことが多いが、夏ウツは不眠や食欲減退が現れることが特徴だ。加えて、不安...

    記事全文を読む→
    注目キーワード
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2025/12/16発売
    ■530円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク