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Posted on 2026年02月28日 08:00

巨人・阿部慎之助監督「新・科学的根性論」哲学を体現した新外国人ダルベックの「実は凄いポテンヒット」緻密な技術設計

2026年02月28日 08:00

 巨人・阿部慎之助監督は今春のキャンプで、選手たちに向けてこう語りかけた。
「誰よりも練習を重ね、誰よりも深く悩んだ経験こそが、必ず成長の糧になる」
 いかにも昭和的な根性論に聞こえが、春季キャンプからオープン戦にかけての巨人を丁寧に見ていくと、その「根性」の中身が、データと技術に裏打ちされた、極めて現代的なアプローチであることがわかってくる。

 阿部監督は現役時代に「数字が好きだから、いろんなものを見ていた」と語るほどデータを重視する一方で、自身を「ザ・昭和」と称してきた人物だ。カウント別の配球表と格闘し、「この状況でインコースはない」「カウントを取りにくるのは外の変化球だろう」という消去法の読みを積み重ねながら、同時に経験と直感も大切にしてきた。データと勘を使い分けるその姿勢が、捕手という負荷の大きいポジションをこなしながら打撃でも好成績を残す源泉だったのだろう。

 現役時代に培ったそのデータと勘の使い分けは、監督としての采配に自然と受け継がれている。ただし阿部監督は、データ偏重には慎重だ。
「本能的に、動物的にやってほしい。もっと直感を信じていい」
 選手たちにはそう伝えている。データを使いこなすには、体に染み込んだ技術が先…そんな順序を重んじる。

 この「科学的根性論」を体現する選手が、今春のオープン戦に見られた。新外国人のボビー・ダルベックだ。メジャー通算47本塁打の右の長距離砲として、ブルージェイズに移籍した岡本和真の後継者として、巨人に加入した。身長191センチ、体重102キロという体格から期待されるのは、豪快な一発だろう。
 ところが2月21日のヤクルト戦(那覇)でダルベックが見せたのは、内角の変化球に詰まりながらも右前に運ぶ、しぶとい一打だった。来日初安打で「ヒットが出たことにひと安心しています」と語ったその裏側に、実は緻密な技術設計があった。

 ダルベックはメジャーリーグ時代から「インサイドアウト」のスイングを武器にしてきた。バットを内側から最短距離でボールに当てにいく打ち方で、ツーストライク後は「逆方向を強く意識する」と語っている。
 この技術が機能する時、打球はポップフライにならず、低いライナーや転がりとして野手の間を抜けやすくなる。詰まって「ラッキー」に見えるヒットは、実は意図的に設計された低弾道打球なのだ。
 元中日の今中慎二氏は「投手にとって厄介なのは、詰まっても動じない打者」と評し、ダルベックの球の見極めを高く評価した。

 MLBの過去データを参照すると、ダルベックのヒット時の打球はゴロ寄りのライナーゾーンに集まる傾向があり、ポップフライになりやすい高角度帯には極力乗せない設計だと推察される。強く振っても詰まればポップフライになるところを、引きつけて低く運ぶ。それがあの「ポテンヒット」の正体である。オープン戦の映像に映る打球軌道は、メジャー時代のそれと見事に一致していた。

 昭和の根性論と令和のデータ野球は、対立するものではない。正しい方向に、正しい方法で努力する。それが「根性2.0」の正体だ。今季のスローガンは「前進 ~GIANTS CHALLENGE~」。オープン戦のポテンヒット一本に、その哲学は早くも現れている。

(ケン高田)

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