「第6回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」の最大の被害者は、オリックスかもしれない。WBCは決勝でベネズエラが3-2でアメリカに勝利し、初優勝を飾った。ベネズエラ国内では優勝を祝うため、翌日を国の祝日にするなど大盛り上がりだった...
記事全文を読む→プロ野球「オンオフ秘録遺産」90年〈新規参入球団の開幕戦「歴史的勝利」の翌日は…〉
「歴史的1勝」の翌日には、プロ野球史上に残る「歴史的大敗」が待っていた。
2005年3月27日、千葉マリンスタジアムでの開幕2連戦、ロッテ対楽天の2戦目は楽天が26対0と惨敗した。
楽 0 0 0 0 0 0 0 0 0 =0
ロ 2 11 1 0 1 4 0 7 × =26
オープン戦で好調だった投手陣が被安打24に、14与四球の大乱調。打線も渡辺俊介の前にたった1安打だった。
途中出場の長坂健治が6回1死から中前に弾き返したが、次打者の平石洋介が併殺打に倒れた。結局、9回を打者27人で封じ込まれて、何もできなかった。
監督の田尾安志は冷静にこう話した。
「ある程度、こんなことが起こると予想していましたが、予想を超えていましたね。切り替えてやるしかない」
プロ野球の史上最大得点差試合は1リーグ時代の40年、西宮球場での阪急(現オリックス)対南海(現ソフトバンク)戦で阪急が32対2で勝った30点差試合である。
しかし完封試合負けとなれば、この26点差が最大の記録だ。
楽天は54年の高橋ユニオンズ以来、実に50年ぶりの新規参入球団だ。
前年の6月、近鉄とオリックスの合併報道に端を発した「球界再編騒動」は12球団維持のために「新規参入」の方針となり、ライブドアと楽天が名乗りを上げた。参入競争は楽天に軍配が上がった。本拠地は宮城県仙台市だ。
同年11月、オリックスと楽天との間で選手を分け合う「分配ドラフト」が行われた。
有望選手はオリックスのプロテクトを受けていたこともあって、楽天は残った選手を取るしかなかった。
それでも、近鉄のエース・岩隈久志が楽天入りを希望、初代選手会長、初代主将の礒部公一も仙台に新天地を求めた。
オリックス67選手、楽天40選手で、来季からの12球団体制が整った。
楽天の選手層はあまりにも薄かった。
開幕戦は岩隈が意地を見せた。1失点の完投勝利、打線も援護した。
楽 0 0 2 0 0 0 0 0 1=3
ロ 0 0 0 0 0 0 1 0 0=1
田尾は「岩隈に全部預けるつもりだった。この雰囲気の中で大したものだ」と初代エースを称えた。
だが、甘くはなかった。新規参入球団の歴史的勝利から一転しての歴史的大敗は「寄せ集め集団」のもろさを物語っていた。
球界関係者は開幕前に「100敗するのではないか」と予測していたが、非現実的な数字ではなかった。
最終成績は38勝97敗1分、勝率2割8分1厘で断トツの最下位だった。
楽天はチーム立て直しに向けて名将・野村克也に白羽の矢を立てた。
野村は「無形の力」をスローガンに、チーム改革に乗り出して成果を収めた。これが13年、星野仙一政権での初の日本一につながった。
---
桑田が661日ぶり登板で2年前の再現
村田真一が「やめろ!」と叫んだが、桑田真澄にためらいはなかった。
97年4月6日、東京ドームでの巨人対ヤクルト開幕3連戦の3戦目、3回表1死一塁だった。
山本樹が投前にバント小飛球を打ち上げた。桑田はダイビングキャッチで処理し、走者の進塁を阻止した。
2年前のプレーと重なった。桑田にとってこの試合は、661日ぶりの公式戦のマウンドだった。
5万5000人大観衆の声援を受けながらマウンドに上がると、ひざまずいて右ヒジでプレート板をそっと拭いた。「また戻ってきました。これからもよろしくお願いします」
95年5月24日、東京ドームでの阪神戦の3回表だった。
阪神・湯舟敏郎が三塁線に小飛球を打ち上げた。桑田はダイビングキャッチしようとして、右ヒジを強打した。
それでも6回途中まで投げ続け、試合後には「大丈夫です」と語っていた。
6月20日の中日戦は先発予定だったものの、スタメン発表後に右ヒジ内側に違和感を訴えて登板を回避した。
古傷をさらに痛めていた。精密検査の結果、じん帯の一部が断裂していることが明らかになった。
10月11日、米国ロサンゼルスのセンチネラ病院で、名医・フランク・ジョーブから右ヒジ腱の移植手術を受けた。
96年は一度もマウンドに立てなかった。長く苦しいリハビリが始まった。
大半はジャイアンツ球場フェンス際のランニングだった。雨の日も風の日もひたすらに走り続けた。
そのうち走ったところがはげて1本道になった。それはいつしか「桑田ロード」と呼ばれるようになった。
桑田は6回を74球、散発2安打3三振、1失点に抑えて先発の役割を果たして勝利投手となった。抜群の制球力は健在で、683日ぶりの白星だ。
ヤ 0 0 1 0 0 0 2 0 1=4
巨 0 2 1 0 2 0 0 0 ×=5
恐れていては前に進むことはできない。3回の闘争心あふれるプレーは、その気持ちの表れだった。
長嶋巨人は野村ヤクルトに開幕2連敗していたから、チームにシーズン初勝利をもたらした。
負ければ58年の国鉄(現ヤクルト)戦以来、39年ぶりの開幕3連敗だった。
開幕戦でルーキーだった長嶋は、金田正一に4連続三振を喫している。この時以来の屈辱になるところだった。
桑田はこの年、10勝を挙げた。復帰戦では、清原和博が移籍第1号本塁打を放っている。
(敬称略)
猪狩雷太(いかり・らいた)スポーツライター。スポーツ紙のプロ野球担当記者、デスクなどを通して約40年、取材と執筆に携わる。野球界の裏側を描いた著書あり。
アサ芸チョイス
スマホの通知に追われる日常から、少し距離を置く。そんな「デジタルデトックス」では、若者が編み物や日記、フィルムカメラといったアナログ趣味にハマるケースが報告されているが、この流れは中年層にもじわじわと波及している。その背景にあるのは、仕事で...
記事全文を読む→3月17日の明治学院大学白金キャンパスは、卒業式に出席したスーツ姿の男子学生や袴姿の女子学生で華やいでいた。その中でも、花柄ベージュ色の袴でひときわ目を引いていたのが、元「モーニング娘。」の北川莉央である。アイドルウォッチャーが解説する。「...
記事全文を読む→4月29日公開予定の映画「SAKAMOTO DAYS」。原作は「週刊少年ジャンプ」で連載中の鈴木祐斗による漫画で、ストーリーは次のような感じだ。「かつて伝説の殺し屋として恐れられていた男・坂本太郎は、ある女性に恋したことを機に殺し屋を引退。...
記事全文を読む→
