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記事全文を読む→原田龍二「誰がなんと言おうと霊はいる!」〈今週の龍言〉人は褒められて伸びる。オヤジには一度も殴られたことがない。
体罰はありかなしか。今年5月、阿部慎之助前巨人監督が娘を投げ飛ばして逮捕されましたよね。子を持つ父親として言わせてもらうと、子供に手を出すことはまずないですよ。
僕はオヤジに一度も手を上げられたことがありません。オヤジは俺よりも弟よりもすごいケンカっ早くて、いまだにです。
「気に入らねえ野郎がいたからブッ飛ばしてきた」
という話も子供の頃にしょっちゅう聞いてました。一般の会社員ですけどね。会社終わって夜、お酒を飲んだ席での話だと思います。オヤジはお酒がすごく好きで、好きが高じて体を悪くしたり、ちょっとしたトラブルがあったんで、もう一切、酒をやめたという人間なんですよ。
そんなオヤジは僕より身長が高く、いちばん脂が乗ってる頃なんて体重100キロぐらいあったんで、見た目の圧がすごい。ですから、オヤジが暴れたらよっぽどだろうな、オヤジを怒らせたらやばいな、何か人の道から外れることがあったらオヤジに一発食らわされるな、という恐怖感は常にありました。
弟がオヤジに引っぱたかれたのは1回見たことありますね。弟が未成年の頃に何回か不祥事を起こした時に。でも、それぐらい特徴のない躾というか、家庭ではスパルタ教育なんてものは全然なかった。
ただ、オヤジが手を出さない代わりに、何を我々に伝えたかっていうと、
「母さんだけは悲しませるな」
ということ。おふくろに殴られたことはありましたよ。小っちゃい頃、弟を泣かせた、そんな程度だと思うんですよね。
僕らの時代のスパルタ教育は家庭内より学校でありましたよ。学校では暴力を振るう体育大学卒の先生が何人かいました。中学で言うと陸上部の先生やバスケ部の先生がそうだったんですよ。リーゼントで剃り込み入ってて見た目は完全にヤクザ。そういう不良にとっての重しみたいな先生が学校に必ずいましたよ。
僕は暴力絶対反対です。それは単純に痛いからですよ。両方とも痛いじゃないですか。ぶったほうもぶたれたほうも痛い。暴力は何も生まないと思う。恐怖しか生まない。
あの頃は「体で覚えさせる」と言ったでしょ? 体で覚える必要ないですね。言えばわかります。
カミさんもまったく同じ考え。彼女は昔、バレーボール部でけっこう厳しい先生に当たったみたいですからね。
今でも暴力体育教師はいると思いますよ。長男の小学校の時のサッカークラブの監督がむちゃくちゃ厳しかったんですよ。僕よりも年上だったですけど。さすがに手は出なかったけど、言葉がすごい厳しかったですね。
「こんなこともできないならもう、やめちまえ!」
とかね。もうけちょんけちょんに、それはひどい!っていうようなことも言ってました。でも息子にとって今が根性を養う時だなと思ってました。少しは厳しくしたほうがいい。そこのさじ加減のセンスですよね。
「何クソ」と思う根性。やめずに残った人間は鍛えられてる。でも手が出ちゃうとやっぱダメ。殴るってことは、その先生を怒らせないために頑張る、そういうモチベーションに変わってくるじゃないですか。
怒られないために一生懸命やるって、それは間違ってる。昔は「スクール☆ウォーズ」を代表する「殴るのは美徳」みたいなスポ根ドラマがありましたけど、おかしいですよね。何のためにやってんのかがわかんなくなっちゃいますね。
前にもお話ししましたけど、やっぱり褒められるために一生懸命やるんです。よく覚えてるのが、小学校低学年の時に音楽の時間で「白い雲」という合唱曲を歌った時です。
白い雲 流れてく♬
僕がすごくうまく歌ったってことで先生がカセットテープに録って、
「お母さんに聴かせてあげなさい」
と言われました。学校の授業でしかも録音は僕だけ。そんなことあまりないですよね? 女性の先生でしたが、なぜそこまでしてくれたのか今でもわかんないですけど。おふくろに聴かせた時に、すごく喜んで褒めてくれました。45年以上前の記憶ですが、今でも鮮明に残ってます。逆に貶されたことはあんまり覚えてないですよ。
阿部前監督の話に戻りますが、もし自分の息子や娘が僕との関係を悩んで、真っ先に相談した相手はお母さんでも友達でもないAIだったら‥‥。それはショックですよ。家庭内のコミュニケーション不足が明らかなわけだから。
僕の場合、自分に子供ができて父親になったらどうしたらいいかなんて一切考えなかったんですよ。父親になるというよりも、僕は父親にさせてもらうっていう考えだったんですよね。
結局、親は子供にとっては人生の先輩というだけで神でも仏でもない。何を教えたかっていうと一緒に遊ぶことで、知識や技術を勝手に授けていってると思うんですよね。
僕には長男と長女がいますが、聞き分けのないことを言われたことがあまりない。自分で言うのもなんですけど、父親の背中を見て育ってきたと思うんですよ。
例えば、子供を連れていた時に「サインください」とファンの方に言われて、僕の対応する姿を見る。自然と学びになってると思うんですよね。偉ぶらない謙虚なことがいいことだと。それがいわゆる躾の一部だと思うんですよ。
例えば、娘が学校に行く時には必ず僕かカミさんが駅まで送ります。その時に服装がよかったら「かわいいじゃん」と褒めますね。むやみやたらじゃないけど、僕がいいと思ったら褒めます。媚びて褒めてるわけじゃないというのは毎日のことなので伝わってると思いますね。
読者の皆さんも、子供に対してはまず褒める。褒める人間がやっぱり大事だと思いますね。褒められないとやりがいがなくなっちゃいますよね。最近は子供たちをどうやって褒めようかな、ということしか考えてないですもん。
原田龍二(はらだ・りゅうじ)1970年生まれ。東京都出身。92年ドラマ「キライじゃないぜ」で俳優デビュー。「水戸黄門」「相棒」シリーズなど出演多数。温泉バラエティ「湯一無二」(MX)のほかユーチューブ「ニンゲンTV」ではゴーストハンターとしても活躍中!
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