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Posted on 2012年08月07日 10:54

死んでも「アイツ」に勝ちたかった【9】 岡留安則 森総理の「買春検挙歴報道」提訴に徹底抗戦!(2)

2012年08月07日 10:54

マスコミは「権力の監視役」

 社会におけるマスコミの最大の使命。それは「権力の監視役」である。政治家など公人の言動をチェックし、権力をフェアに行使しているかどうかを国民に広く問いかける。同時に権力を持つに値するかどうか、人間性に関してあらゆる角度から検証するのも大切な役割だ。

 当時の森っていうのは、長年続いてきた自民党政権の腐敗をまさに象徴するような存在だったからね。総理に就任してすぐ「日本は神の国」発言で物議を醸したし、ハワイで日本の実習船沈没事件が起きた時にゴルフを続行して批判を浴びたこともある。失言を連発して、国民の間には首相としての資質に大きな疑問符が浮かび始めていた。

 もっと言えば、森が総理に就任した経緯だって完全な自民党の密室談合で決まった。このスキャンダルはそんな森政権の本質的な部分を批判するものだった。

 記事が発売されてから1週間後、森総理はこの記事を「事実無根」とし、噂眞を名誉毀損で提訴することになる。

 ウチは数え切れないくらい訴えられたし、実際に訴訟も闘ってきたけど、現職の総理大臣に訴えられるというのは前代未聞だった。まあ政治家のスキャンダルをやる場合は、裁判まで視野に入れておくのは当然だから驚きはしなかった。

 ただ裁判は金も労力も必要だし、メディアにとってはボディブローのように効いてくる。政治家はスキャンダルを書かれると、まずとにかくメディアを訴えてくる場合が多い。そうすることで他メディアを「書いたら訴えるぞ」と恫喝し、後追い報道が拡大することを阻止する狙いもある。ほとぼりが冷めた頃にこっそり提訴を取り下げる「メンツ告訴」も多いんだけど、こちらとしては一歩も引くつもりはなかったし、徹底的に闘ってやろうと思っていた。

 しかし、実際に裁判が開始されると、現実の壁が厚く立ちはだかってきた。当初は噂眞側の主張が認められ、東京地裁は警視庁に対して森氏の逮捕歴を公表するよう調査委託を申し入れたのだが、警視庁の回答は「調査には応じかねる」。その後は、いたずらに時間だけが過ぎていった。

 森氏側も「事実無根」と言うなら、堂々とみずから前歴を警視庁に照会させればよかったはず。それをしないということは逆説的に「検挙歴は事実だった」ということを自分で言っているようなもの。だからこの時点では、こちらも負けるなんて思っていなかった。

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