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記事全文を読む→プロ野球「師弟の絆」裏物語 第2回 松坂大輔と東尾修の「一子相伝」(1)「477日ぶり復活勝利」で実践した師匠の教え
「一塁側のプレートを踏み8割の力で投げろ」
昨年6月の肘の手術から477日、レッドソックスの松坂大輔が、待望の復活を果たした。これまで以上の球威で相手チームをねじ伏せることができたのは、西武で指導を受けた師・東尾修氏の教えを実践したことが大きかった。デビュー当時、「格別の配慮」で「過保護」とも言われた東尾氏は、松坂に何を伝えようとしたのか。
「肘の手術はリハビリが問題」
「松坂大輔はダルビッシュ有(レンジャーズ)なんかと違って、指先が器用なタイプではないし、指が特別に長いわけではないので、新しい球種を覚えて、ピッチングスタイルを変えるよりも、じっくりと原点に戻って自分の投球スタイルを確立したほうがいいと思う」
松坂がプロ入りを果たした時に西武ライオンズの監督を務めた東尾修は、昨年6月11日に肘の手術を終え、リハビリ中だった松坂について、こうアドバイスしたことがあった。
松坂自身も「今シーズンに限っては高いものを求めていない。求めれば求めるほどストレスがたまるから‥‥」と言っていたが、松坂にとって悠長にリハビリをしている時間は残されていなかった。在籍するレッドソックスとは、6年間で42億円の大型契約で入団した契約最終年を迎えているからだ。
事実、レッドソックスは17億5000万円のゴンザレス、16億3000万円のクロフォード、13億6000万円のベケットに加え、便利屋ブントの主力4人を放出。
一方でドジャースから若手の5人を交換で入団させた。こうしたチーム状況を考えれば、“高給取り”である松坂の処遇にも大きな影響を与えかねないムードが漂っているのだ。
そんな中での復帰戦となった8月27日(現地時間)のロイヤルズ戦、7回1失点の力投は、チーム残留にわずかな望みを残すものとなった。
メジャーでは「トミー・ジョン手術」(肘の靱帯断裂に対する手術手法)を受けて、シーズン途中で復帰した選手の場合、その直後の成績よりも9月以降の成績を見るという考え方が浸透している。
「トミー・ジョン手術を受けた投手が術後に球速が速くなる例は多い」(メジャー関係者)
と一般的に言われているが、この日の松坂の最速は94マイル(151キロ)と、明日への希望をつなぐ力投になったことは数字が物語っている。
そのトミー・ジョン手術を世界で最初に行ったとされるF・ジョーブ博士は、かつて本誌の取材に対して、
「日本には甲子園という悪しき伝統がある。僕のところに来るのは、甲子園の連投で投げすぎ、肘が曲がってしまったような人ばかり」
と嘆いていたが、松坂もその一人。
日本でも荒木大輔(現ヤクルト投手コーチ)、桑田真澄(元巨人)、香田勲(元巨人)などが術後に復活を遂げ活躍しているが、F・ジョーブ博士が指摘していたことは、松坂がリハビリという試練を乗り越えてきたことを如実に示していた。
「手術そのものは難しいものではないが、問題なのは術後のリハビリ。結果を急いではダメ」松坂にしても、そんなことは百も承知。今季よりも来季を見据えての結果に、「手術後、なかなか結果も出ていなかったので、もっと込み上げてくるものがあるかなと思っていましたが、そうでもなかった」
と、復活初勝利を淡々と振り返っている。
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