芸能

ビートたけしの金言集「人前で落語を披露するため国立演芸場へ」

 家元・立川談志師匠の下での修行時代を、立川談春さんが記されたベストセラー本「赤めだか」のドラマ化に伴い、談志師匠役でドラマの撮影に参加されていた殿が、ドラマのご縁で交流を持った談春さんに、“立川梅春(ばいしゅん)という名で弟子にしてほしい”、さらには“お邪魔でなければ、談春さんの独演会に前座として落語を披露しに行きたい”といったお願いをされたのが、2015年3月頭のことでした。

 で、どちらの案件も談春さんから承諾を得た殿は、2015年3月末、国立演芸場にて5日間開催される、談春さん独演会の楽日に客前で落語を披露すべく、人知れず準備に入ったのです。

 落語を披露することが決まった殿は、

「あれだな。マクラは昔やってた漫才のネタでもやるか」

「だけど俺がちゃんと着物着て出てったら、客は驚くかな」

 等々、とにかく“オイラはワクワクしている”といった感じで、日々のテンションもはっきりと高く、仕事でもプライベートでも“ハイテンションたけちゃん”な状態が続いていました。

 ビートたけしであっても、久方ぶりの生の客前“LIVE”は興奮するものなのでしょう。

 そんな、本番が待ち遠しくて仕方のない“パドックの中の興奮したサラブレッド”状態であった殿が本番1週間前、“談春さんの独演会は大変人気が高く、チケットがなかなか取れないプレミアな会である”といった情報を小耳に挟むと、今までのハイテンションは一気に鳴りを潜め、

「落語ファンは厳しいからな。俺が行っても大丈夫かな?」

「ちょっとアウェーな感じあるな」

 等々、瞬時に“心配たけちゃん”へと変貌を遂げたのでした。あげく、

「まー行くだけ行って、落語やらなくてもいいしな」

 と、“実際に落語を披露するかはまだわからない”といったニュアンスを存分に漂わせだしてきたのです。

 わたくし、こういった“ある意味当たり前の心配”をしっかりとされる殿の“常識的な感覚”がたまらなく好きだったりします。

 とにかく、「客前で落語を披露する」といった事実への不安と葛藤を抱えながら数日過ごした殿は、本番前日、テレビの仕事を夕方に終えると、

「明日、お前も観にくるんだろ」

 といった言葉を残して、帰っていかれたのでした。

 そして当日、談春さんの独演会が行われる国立演芸場に時間どおり17時半に到着された殿は、駐車場で出迎えたわたくしを認めると、車を降りてくるなり、

「なんでお前がいるんだよ。さては俺の落語を観にきやがったな!」

 と、わたくしが来るのを知ってたくせに、あえて“しかしお前は俺の根っからのファンだな。俺の落語がそんな観たいか!”といった意味合いを示唆した挨拶をかますと、静かに、国立演芸場へと入っていかれたのでした‥‥。

ビートたけしが責任編集長を務める有料ネットマガジン「お笑いKGB」好評配信中!

http://www.owarai-kgb.jp/

◆プロフィール アル北郷(ある・きたごう) 95年、ビートたけしに弟子入り。08年、「アキレスと亀」にて「東スポ映画大賞新人賞」受賞。現在、TBS系「新・情報7daysニュースキャスター」ブレーンなど多方面で活躍中。本連載の単行本「たけし金言集~あるいは資料として現代北野武秘語録」も絶賛発売中!

カテゴリー: 芸能   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    ゲームのアイテムが現実になった!? 疲労と戦うガチなビジネスマンの救世主「バイオエリクサーV3」とは?

    Sponsored

    「働き方改革」という言葉もだいぶ浸透してきた昨今だが、人手不足は一向に解消されないのが現状だ。若手をはじめ現役世代のビジネスパーソンの疲労は溜まる一方。事実、「日本の疲労状況」に関する全国10万人規模の調査では、2017年に37.4%だった…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , , |

    藤井聡太の年間獲得賞金「1憶8000万円」は安すぎる?チェス世界チャンピオンと比べると…

    日本将棋連盟が2月5日、2023年の年間獲得賞金・対局料上位10棋士を発表。藤井聡太八冠が1億8634万円を獲得し、2年連続で1位となった。2位は渡辺明九段の4562万円、3位は永瀬拓矢九段の3509万円だった。史上最年少で前人未到の八大タ…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , |

    因縁の「王将戦」でひふみんと羽生善治の仇を取った藤井聡太の清々しい偉業

    藤井聡太八冠が東京都立川市で行われた「第73期ALSOK杯王将戦七番勝負」第4局を制し、4連勝で王将戦3連覇を果たした。これで藤井王将はプロ棋士になってから出場したタイトル戦の無敗神話を更新。大山康晴十五世名人が1963年から1966年に残…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
「致死量」井上清華アナの猛烈労働を止めない「局次長」西山喜久恵に怒りの声
2
完熟フレッシュ・池田レイラが日大芸術学部を1年で退学したのは…
3
巨人の捕手「大城卓三と小林誠司」どっちが「偏ったリード」か…大久保博元が断言
4
京都「会館」飲食店でついに値上げが始まったのは「他県から来る日本人のせい」
5
フジテレビ井上清華「早朝地震報道で恥ずかしい連呼」をナゼ誰も注意しない?