芸能
Posted on 2017年04月26日 17:57

ビートたけしの金言集「人前で落語を披露するため国立演芸場へ」

2017年04月26日 17:57

 家元・立川談志師匠の下での修行時代を、立川談春さんが記されたベストセラー本「赤めだか」のドラマ化に伴い、談志師匠役でドラマの撮影に参加されていた殿が、ドラマのご縁で交流を持った談春さんに、“立川梅春(ばいしゅん)という名で弟子にしてほしい”、さらには“お邪魔でなければ、談春さんの独演会に前座として落語を披露しに行きたい”といったお願いをされたのが、2015年3月頭のことでした。

 で、どちらの案件も談春さんから承諾を得た殿は、2015年3月末、国立演芸場にて5日間開催される、談春さん独演会の楽日に客前で落語を披露すべく、人知れず準備に入ったのです。

 落語を披露することが決まった殿は、

「あれだな。マクラは昔やってた漫才のネタでもやるか」

「だけど俺がちゃんと着物着て出てったら、客は驚くかな」

 等々、とにかく“オイラはワクワクしている”といった感じで、日々のテンションもはっきりと高く、仕事でもプライベートでも“ハイテンションたけちゃん”な状態が続いていました。

 ビートたけしであっても、久方ぶりの生の客前“LIVE”は興奮するものなのでしょう。

 そんな、本番が待ち遠しくて仕方のない“パドックの中の興奮したサラブレッド”状態であった殿が本番1週間前、“談春さんの独演会は大変人気が高く、チケットがなかなか取れないプレミアな会である”といった情報を小耳に挟むと、今までのハイテンションは一気に鳴りを潜め、

「落語ファンは厳しいからな。俺が行っても大丈夫かな?」

「ちょっとアウェーな感じあるな」

 等々、瞬時に“心配たけちゃん”へと変貌を遂げたのでした。あげく、

「まー行くだけ行って、落語やらなくてもいいしな」

 と、“実際に落語を披露するかはまだわからない”といったニュアンスを存分に漂わせだしてきたのです。

 わたくし、こういった“ある意味当たり前の心配”をしっかりとされる殿の“常識的な感覚”がたまらなく好きだったりします。

 とにかく、「客前で落語を披露する」といった事実への不安と葛藤を抱えながら数日過ごした殿は、本番前日、テレビの仕事を夕方に終えると、

「明日、お前も観にくるんだろ」

 といった言葉を残して、帰っていかれたのでした。

 そして当日、談春さんの独演会が行われる国立演芸場に時間どおり17時半に到着された殿は、駐車場で出迎えたわたくしを認めると、車を降りてくるなり、

「なんでお前がいるんだよ。さては俺の落語を観にきやがったな!」

 と、わたくしが来るのを知ってたくせに、あえて“しかしお前は俺の根っからのファンだな。俺の落語がそんな観たいか!”といった意味合いを示唆した挨拶をかますと、静かに、国立演芸場へと入っていかれたのでした‥‥。

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◆プロフィール アル北郷(ある・きたごう) 95年、ビートたけしに弟子入り。08年、「アキレスと亀」にて「東スポ映画大賞新人賞」受賞。現在、TBS系「新・情報7daysニュースキャスター」ブレーンなど多方面で活躍中。本連載の単行本「たけし金言集~あるいは資料として現代北野武秘語録」も絶賛発売中!

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