芸能
Posted on 2017年08月15日 05:59

「やすらぎの郷」で蘇る「国策映画」に反戦メッセージを込めた監督たち

2017年08月15日 05:59

 専門家から高く評価されている放映中の倉本聰氏作の帯ドラマ「やすらぎの郷」(テレビ朝日系)。藤竜也演じる「高井秀次」のモデルが高倉健であるとともに笠智衆であるように、同ドラマは倉本氏が知る人物やエピソードをモデルにして脚本が執筆されているようである。

 そんな同ドラマの8月第1週で語られたのは「戦争」だ。志半ばで戦死した映画監督や戦意高揚のために製作された国策映画を絡めたストーリーで、もちろんフィクションだが、「国策映画」がどんなものか、また、心ならずも戦意高揚への協力を余儀なくされた当時の映画関係者が映画製作とどう向き合ってきたか当時の状況が丁寧に描かれている。

 実際に戦時中、国策映画を撮らされ、戦死した監督には山中貞雄監督らがいた。一方で国策映画と見せかけ、反戦への想いを込めて映画を撮った監督もいたという。映画ライターに聞いた。

「有名なところでは黒澤明監督の『一番美しく』があります。戦闘機の部品を作る女子挺身隊の話ですが、その作業はとてもハード。眠らずに働き、親の死に目にも会えない。そんな作業を続ける少女の姿は立派なようで実は異様なもの。この戦争は間違っていると観る側は思ったでしょう。また、少女たちが行進の時に演奏する曲は敵国アメリカの作曲家・スーザのマーチですから、黒澤監督は大胆なことをしたものです」

 木下惠介監督の「陸軍」も有名だ。田中絹代演じる母親が転び、よろめきながら出征する息子を延々と追いかける長回しのカットは圧巻で、戦争に送り出したくない母親の気持ちが痛いほど伝わってくる。これで戦意が高揚するわけがない。

 国策映画を撮りたくなかった監督たちの気持ち。日本を愛しながらも映画や文化を愛した若い命が散り、残された人たちにどのような傷が残ったのか。そんな現実に思いを致しながら視聴すれば、このドラマがより胸に沁み入るはずだ。

(笠松和美)

全文を読む
カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    芸能
    2013年11月26日 10:00

    11月8日、歌手・島倉千代子(享年75)が肝臓ガンで死去した。島倉といえば、演歌の王道を歩むように、その生き様は苦労の連続だった。中でも、莫大な借金返済で味わった地獄は理不尽極まりなかったようで──。島倉は、男を信じて手形の保証人となったせ...

    記事全文を読む→
    芸能
    2026年04月28日 16:30

    バナナマンの日村勇紀が当面の間休養に専念すると、所属事務所ホリプロコムの公式サイトで発表した。今年に入ってから体調を崩すことが多く、医療機関を受診した結果、休養が必要との判断に至ったのだという。「心身の回復を第一に、コンディションを整えなが...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    スポーツ
    2026年05月07日 06:30

    ゴールデンウィークが明けても再起の見通しが立たず、長すぎる空白期間を過ごしているのは、左内腹斜筋肉離れでリハビリ中のヤクルト・山田哲人内野手である。沖縄・浦添キャンプのシートノック中に脇腹の張りを訴え、戦線離脱。5月になっても打撃のひねり動...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    注目キーワード
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2026/5/12発売
    ■650円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク