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記事全文を読む→天才テリー伊藤対談「大地康雄」(3)付き人のストレスで頭が薄くなって
テリー そこから、あらためて俳優の道を歩み始めた?
大地 ええ、ゼロからのスタートです。もちろん、全然食えませんから、同じ俳優仲間がやっていたガラス磨きのバイトを引き継いだんですよ。お金持ちの家へうかがって、「ガラス磨かせてください」ってお願いして回るバイトだったんですけど。で、新規のお客を開拓しようと五反田の高級住宅街を歩いていたら、「伊藤雄之助」という表札を見つけたんです。
テリー え、あの黒澤明作品などでおなじみの名優、伊藤雄之助さんですか!
大地 そうなんです。なので、飛び込みで「弟子にしてください!」とお願いしたんです。ところが、先生は不在で、奥さんに「今まで何人も取ったけど、厳しくてみんな夜逃げしてしまうから、諦めなさい」と言われましたね。だけど、私は「じゃあガラスだけ磨いて帰ります」と通い続けましてね、結局7回行きました。
テリー それ、もうストーカーですよ(笑)。
大地 8回目にやっと先生がいらして、「キミか、紹介もなく、しつこく来ているのは」と。あらためてお願いすると、「じゃあ、明日から来てみるかい」っておっしゃっていただきまして、その後、2年ぐらいお世話になりました。
テリー 奥様が言っていたとおり、伊藤さんは厳しかったんですか?
大地 ええ。その厳しさが残っているのが、私の頭ですよ。当時はフサフサだった髪が、その時のストレスですっかり薄くなってしまいましたから(笑)。
テリー アハハハ。でも、それが83年のテレビドラマ「深川通り魔殺人事件」の川俣軍司役につながったんじゃないですか?
大地 ええ、まさかそんなところが生かされるとは思いませんでした(笑)。
テリー 当時、大地さんはまったくの無名ですよね。大抜擢じゃないですか。
大地 31歳の時ですね。髪の薄い俳優さんを集めてオーディションをしていたらしいんですが誰も引っ掛からなくて、私はピンチヒッターで行ったんですよ。そしたら、監督さんが5年前に私が出た「衝動殺人 息子よ」という映画の犯人役を覚えていてくれたんですよ。
テリー 役を演じるに当たって、何か参考にされたんですか。
大地 「本人に会うか」とも言われたんですが、裁判資料を読んで、自分なりのイメージを作りました。あまり気負わず、それまで勉強してきたことを誠実に役にぶつけてみようと。
テリー 当時、強烈な印象でしたよ。僕も「川俣軍司本人じゃないの?」と思ったくらいですから。
大地 「本人を出してきて撮ったのか?」とかテレビ局にも問い合わせがあったらしいですね。でも、その役が強烈すぎて「あいつ、本当にヤバいヤツじゃないか」と思われてしまって、たまに来る仕事もステレオタイプの悪役ばかり。その後3年ぐらいメシが食えなくて、またバイト生活に逆戻りになりました(苦笑)。
テリー あんなにいい仕事をされて、そんなことになっていたなんて! 俳優のイメージって、一度ハマるとそこから抜け出すのが大変なんですよね。
大地 まぁ、今考えてみると、それも別の意味での修業期間だったのかな、と思えるんですが。
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