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記事全文を読む→世界の福本豊<プロ野球“足攻爆談!”>「『アレンパ』を逃した最大の理由」
セ・リーグは阪神が巨人とのマッチレースに敗れて優勝を逃した。2ゲーム差で迎えた9月22、23日の巨人2連戦(甲子園)に連勝していれば、球団初の連覇が見えていたが、結果は1勝1敗。初戦は1-0で勝って、2戦目は0-1。やっぱり最後は打てずに負けた。9月になってようやく去年のような打線のつながりを見せ始めたけど、点が取れずに苦しんだシーズンやった。
岡田監督の誤算はクリーンアップより、その前後やったと思う。昨年は8番の木浪が出塁して、投手がバントで送って、近本、中野の1、2番でかえす。さらにクリーンアップへとつなぎ、ビッグイニングを作るというのが得意パターンやった。ところが、木浪の打率が昨年の2割6分7厘から2割1分台に低下。2番の中野は2割8分5厘から2割3分台に落ち込んだ。
特に近本とクリーンアップのつなぎ役となる中野の不振は大きく響いた。バットが下から出るようなスイングで空振りが増えたし、ボールの見極めも悪くなってしまった。後半戦は近本が出塁して、中野がバントで送って、クリーンアップでかえすというのが定着したけど、中野の調子がよければもっとヒットエンドランを仕掛けてもよかった。相手バッテリーからすれば「またバントやな」と、プレッシャーを感じることがない。投手は初回に1アウト取ると落ち着くから、バントされる方が圧倒的に楽な時がある。
得点力不足を解消するには足を絡めるのが有効な手段になるが、今年の阪神はまったく動けなくなった。ヒットエンドランだけでなく、盗塁そのものが少なかった。昨季の79から約半分に減ってしまった。盗塁王濃厚の近本がいるのに、中日と12球団最低を争った。その近本にしても20個もいかない数字では、盗塁王のタイトルを辞退した方がいいぐらい。投手の最高勝率タイトルが13勝以上と決まっているなら、盗塁王だって最低ラインを作ってほしい。20 個なんて、その気になれば1カ月で走れる。
森下、大山、佐藤輝のクリーンアップに至っては、盗塁0でシーズンを終わりそうだが、最も期待を裏切ったのが中野。昨年の20 から6に激減した。盗塁死が7と成功率が悪く「走れ」のサインを出しにくかったのかもしれん。でも、走らなくなると、スタートの勘はどんどん鈍くなる。僕でさえ、3試合ぐらい走らないと、スタートを切りにくく感じた。メジャーで59盗塁を記録した大谷なんて、アウトになるプレッシャーを感じていないから、どんどんスタートがよくなっていった。足にスランプはないと言う人がいるけど、やっぱり走らないようになると、調子は悪くなる。
9月30日の甲子園最終戦で阪神は観客動員300万人を突破した。僕も球場で記念の大入り袋をもらったが、試合はDeNAに完封負けで、ヒットすら9回の2本だけ。満員のお客さんはヒットを打つだけで大喜びやったが、やっぱり得点シーンを見せてあげたい。盗塁やヒットエンドランはスリルがあるし、アウトになっても球場は沸く。走者がスタートを切れば内野が動くので、ヒットゾーンも広がるんやけど。阪神は2位チームとしてCSのファーストステージは甲子園で戦う。岡田監督退任の報道が流れてるけど、結果はどうであれ、最後はファンを喜ばすスリリングな野球を見せてほしい。
福本豊(ふくもと・ゆたか):1968年に阪急に入団し、通算2543安打、1065盗塁。引退後はオリックスと阪神で打撃コチ、2軍監督などを歴任。2002年、野球殿堂入り。現在はサンテレビ、ABCラジオ、スポーツ報知で解説。
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