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「仁義なき戦い」40年目の壮絶秘話(1)「顔のシワ作り」に励んだ松方

 昨年初夏に本誌で連載され、好評を博した「仁義なき戦いの真実」が、2月3日に書籍となって再び世に問う。公開から40年を数え、色あせないどころか、混迷の時代にいっそうの光を放つ「仁義なき戦い」とは何か──。

 09年に発表された「キネマ旬報」の「オールタイム・ベスト映画遺産200(日本映画編)」において、堂々の第5位にランクされたのが「仁義なき戦い」である。1位から順に「東京物語」( 53年)、「七人の侍」( 54 年)、「浮雲」(55年)、「幕末太陽傳」(57年)に次ぐもの。ヤクザ映画というジャンルながら古典的名作に伍して上位に入ったのは、歴史的な快挙と言っていい。
 73年1月に第1作が公開されると、これまでの任侠映画には存在しない「謀略」や「下克上」の生々しい描写が話題になった。 〈オヤジさん。言うといたるがのォ、あんた、初めからワシらが担いどる神輿じゃないの! 組がここまでなるのに誰が血ィ流しとるの。神輿が勝手に歩ける言うんなら歩いてみいや、おう! のお、おやっさん。ケンカはなんぼゼニがあっても勝てんので〉
 第1作で松方弘樹が演じた山守組若頭・坂井鉄也の歴史的な名セリフである。稀代の脚本家・笠原和夫氏によるシナリオを、深作欣二監督が手持ちカメラを多用したり、ストップモーションやナレーションを効果的に使った演出で昇華される。さらに広能昌三役の菅原文太を筆頭に、ここから大きく飛躍する役者たちのエネルギーが渦巻いた。
 坂井役だけでなく、シリーズに別の役で3度登場し、3度とも殺された松方が言う。
「1作目で文太さんと並ぶと、まだ30歳だから顔が若い。だから洗面器を2つ用意して、片方には熱いお湯を、もう片方には冷たい水を入れて交互に顔を突っ込むんです。これをやるとシワができるって聞かされて、まあ根拠はなくとも信じていたんだね。その顔が若さの利点かもしれないけど、早くシワを刻みたかったね。それに『完結篇』の市岡輝吉役は、目の下の縁に朱を入れて、赤目がかった不気味な感じを出していった。ただし、放っておくとにじんでしまうから、1シーンごとに入れないといけなかったけど」
 第2作「広島死闘篇」でシリーズ随一の凶暴キャラである大友勝利を演じた千葉真一もまた、ファンには大人気の役柄である。
〈何がバクチ打ちや、おお。村岡が持っとるホテルは何を売っちょるの。淫売じゃないの。言うならアレらはオメコの汁でメシ食うちょるんど!〉
 公開当時は人気ドラマ「キイハンター」(TBS)が5年間の放映を終えた直後で、世の印象としては
「ヒーローの千葉ちゃん」だったはずだ。
「大友が最初に登場する場面は、食堂で割り箸をくわえているんだけど、実はそれだけじゃない。役のモデルの人の写真を見せてもらったら、かなり下唇が厚い人だった。だから下唇を引っくり返し、かつらに使うのりで固定して分厚さを強調していた」
 これまで演じたことのない「悪」である。どう演じたらいいか、考えた結論は
「千葉真一らしさ」を捨てることだった。自分の特徴、俺らしさ、俺のよさ──例えば、かっこいい役柄が続いていたから、むしろブザマであろうと思った。
 その手始めにサングラスをかけ、力強い双眸を隠した。そうして一つ一つ、大友になりきっていった。

この続きは全国のコンビニ、書店で発売中の『週刊アサヒ芸能』でお楽しみ下さい。

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