政治

フザけるな!「どじょう野郎」(1)

 滋養強壮に効くとして、庶民が食するどじょう。でも、我が国のトップに君臨する“どじょう”は煮ても焼いても食えそうにない。事実上、国有化したはずなのに、引責辞任した東電役員の「天下り」を許すなど信じられない‥‥。本誌がヤツらの銭ゲバで強欲な素顔を暴いてやる!

引責辞任なのに年収が2倍?

 消費増税法案が衆院を通過したものの、造反議員の処遇で野田佳彦総理(55)が頭を悩ませていたちょうどその頃、東京電力は「第88回定時株主総会」を開いていた。

 6月27日、その会場となった代々木第一体育館周辺は警察車両が配備されるなど、ものものしい雰囲気に包まれていた。この総会は東電の生き残りをかけた正念場でもある。経営陣から提案された議案は政府から1兆円という公的資金を得るために必要な定款変更や役員変更ばかりであった。

 ところが、この総会を前に、東電の悪しき体質が露呈した。引責辞任するはずの役員20人中8人の「天下り」が発覚したのだ。

 詳細は別表のとおりである。「天下り」先は東電の子会社や取引先など関連企業が並ぶ。その地位もなかなかのものなのである。高津浩明前常務(59)や宮本史昭前常務(57)にいたっては社長である。

 ある東電社員が言う。

「ウチの会社のグループ会社で東証一部に上場しているのは、関電工と東光電気、高岳製作所(東光と高岳は今年10月に持ち株会社を発足させ統合予定)の3社です。ここに天下るのがオイシイと言われています」

 そうして見ていくと、やはり東光電気社長になる高津氏が、最も「オイシイ」ということになる。最近では、「お客さま本部長」としてメディアに出演し、電気料金値上げを訴えていたアノ人である。

「高津氏は東大大学院を出たシステム屋で、東電内では技術畑の人と見られています。東光電気は宮本氏が社長になった電気通信工事を行う会社より事業規模も大きい。さらに、スマートメーター事業を手がけていく会社で伸びしろもある。収入もだいぶ違ってくるでしょう」(経済部記者)

 そこで、本誌は東光電気が今年6月に提出した有価証券報告書を確認してみた。取締役の役員報酬の1年間総額が1億2400万円。支払った取締役が9人ということは1人平均で年収約1400万円となる。

 今年、東電が発表した1年間の役員報酬の1人当たりの平均年収が約852万円。高津氏は確実に年収がアップしてしまう。

 そんなものではない。前出・東電社員はこう言う。「いや、平均が1400万円であって、トップの社長は3000万円ぐらいはもらえるはずです」

 公的資金の投入で、経営責任を取って辞めたはずの役員が、子会社の社長になって年収3倍以上‥‥。そんなことがまかり通っていいのか。

被災者の苦しみを味わえ!

 ジャーナリストの二木啓孝氏は、この「天下り」についてこう話す。

「彼らにとっては『何が悪いの?』ぐらいの感覚なんですよ。これも、地域独占で殿様商売をしてきた東電の体質の表れです。しかも、自分たちの利潤を電気料金に上乗せしていい『総括原価方式』なんてものを政府が認めて、殿様商売にお墨付きを与えていたわけだから、タチが悪い!」

 より怒髪天をついているのは、福島の避難者だ。

「原発事故で商売は畳まざるをえず、最近になってやっと知人の紹介で仕事だけはできるようになったというのに、東電の役員は辞めても3000万円ですか、ふざけるなと思ってしまいますよ」

 こう話すのは、浪江町の警戒区域に住んでいた50代の男性だ。妻と娘は県外の妻の実家に避難させ、1人で福島県内の仮設住宅に住んでいる。

 そして、こう続ける。

「賠償金とはいいますが、今までの生活から考えれば全てを取り戻せるわけではないです。住むことができなくなった自宅のローンもまだ残っています。一時帰宅した時、まだ古い家でもないのに家の中はカビ臭が漂っていましてね‥‥。事故がなくても還暦以降まで支払わなければならなかったローンが、東電役員の天下り先の年収ならチャラにできる。穏やかでいられるわけはありません」

 警戒区域である富岡町から子供を連れて関東へ避難している30代の母親が話す。

「私たちをダマし続けていただけでも厚顔なのに、天下りして、業界に居座り、お金をもらうなんて図々しいです。どうせ大して仕事もしないだろうに、結構な金額がもらえるんですね。本当に出直す気があるんでしょうか。私は就職活動を始めましたが、希望に沿う求人はなかなかありません。同様につらい思いをしている人がたくさんいます。東電の役員たちには、私たちが経験しているつらい思いよりも、はるかにつらい思いを死ぬまでしてほしい」

 東電経営陣の「天下り」は、避難者にとっては万死に値する行為なのである。

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