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記事全文を読む→秋津壽男“どっち?”の健康学「老化現象の一つである頻尿は我慢すべき?有効なトレーニングによって治療も可能」
人間は年を重ねるにつれ、さまざまな変化が体に現れます。老眼は年々進行しますし、頭に白髪が生えてきます。記憶力も加齢によって確実に衰えてきますし、酒が弱くなったと自覚する人もいるでしょう。これらは全て「老化現象」であり、私たちは生きているかぎり老化現象を避けて通れないようにできています。
ここで質問です。そうした老化現象の一つに頻尿がありますが、頻尿になった場合、トイレは我慢するべきでしょうか、それともすぐに行くべきでしょうか。
頻尿の性質は「尿の量」で考えます。最大で尿を500ミリリットルほどためられる膀胱は、150ミリリットルほど尿がたまると尿意を感じ始めます。1回の尿の量は男性で300~400ミリリットル、女性で200~300ミリリットルですが、この尿量よりも極端に少ない場合、我慢をしたり膀胱訓練をしたほうが賢明と言えるでしょう。
こうした経験はありませんか? 電車に乗っている時におしっこがしたくなり、途中下車してトイレに駆け込むも、いざ排尿しようとすると出ないという場合があります。これを過活動膀胱と言いますが、この場合、いざという時にもトイレに行きやすい家で我慢をしてみてください。
トイレに行きたくなっても、すぐには行かず我慢を重ねます。10分我慢できたら20分、20分我慢できたら30分と、我慢する時間を少しずつ増やすと、頻尿は自然と治療されていきます。これがいわゆる膀胱トレーニングです。1日あたりの排尿回数は日中に5回前後が平均的です。これが極端に超え、なおかつ1回あたりが少量の場合は膀胱トレーニングをしてください。
中高年の頻尿の要因として、体内への水分の吸収を優先させて尿量を減らす「抗利尿ホルモン」の減少や膀胱の弾力性の低下、尿道周りの筋肉の衰えがあげられます。中でも男性の代表的な要因は前立腺肥大です。早くて50歳頃から始まり、70歳では8割、80歳になると9割の人がこの症状にかかります。
前立腺肥大による頻尿ですが、これは頻尿というよりも「残尿」であり、前立腺肥大の初期症状なのです。尿が膀胱にあるのではなく、膀胱から出て緩んだ尿道に残っているのです。ホースで水をまいた時、蛇口を閉めて残ったしずくが出てくるのと同じことで、残った尿が膀胱に残っているだけのこと。医学用語で「排尿後滴下」と言います。
この場合も有効なトレーニングがあります。排尿後に尿道をしぼってください。睾丸からペニスの間を、ホースの水を押し出すようにしぼると残った尿が出てきます。これをミルキングと言います。あるいは排尿後につま先立ちをすると括約筋がキュッと絞められ残尿は出てきます。
また、排尿の際にズボンとパンツを完全に下ろすと尿道の圧迫もなくなりますので、大便用トイレに座って用を足すようにするといいでしょう。
1日あたりの総尿量は体重(キロ)×20~25ミリリットルが適正量と言われています。体重70キロだと1400~1750ミリリットルとなりますが、これを大きく上回ると多尿と診断されます。多尿の場合、我慢をするのではなく、まずは1日の飲水量を減らしてください。利尿作用の高いコーヒーやアルコールを減らすことです。
摂取水分を減らしても排尿の量が減らない場合は病気が疑われます。尿がたくさん出てしまうため喉が渇き、水分をたくさん摂ってしまうという悪循環に陥るのが尿崩症です。1回ごとの排尿をためておき、1日の総量が3リットル近くになると尿崩症が疑われますので、病院で血液検査や尿検査を受けてください。尿崩症は心不全や腎不全、糖尿病などに結びつきますので、早い段階で治療を受けることが肝心です。
■プロフィール 秋津壽男(あきつ・としお) 1954年和歌山県生まれ。大阪大学工学部を卒業後、再び大学受験をして和歌山県立医科大学医学部に入学。卒業後、循環器内科に入局し、心臓カテーテル、ドップラー心エコーなどを学ぶ。その後、品川区戸越に秋津医院を開業。
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