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記事全文を読む→天才テリー伊藤対談「安田純平」(3)どんな辛い状況も人は慣れてしまう
テリー 僕が安田さんのことを「すごい!」と思ったのは、自分が同じ状況になった時、いったいどうするだろうと考えたからなんです。とても怖くて、自分がつながれるパイプを総動員して「なんとしても助かりたい。身代金を払ってくれ!」と頼むと思うんですよ。
安田 日本政府に身代金を払ってもらって助かったとなると、その後の批判がすごいですから。それだけはなんとしてでも避けたいと思っていました。
テリー でも、生きて帰らないと、その批判すら聞けないじゃないですか。
安田 私自身が批判されるのは当然ですし、まったくかまわないのですが、04年の時には家族が外に出られなくなってしまうような状況を経験していますから、その選択肢は頭になかったですね。
テリー 僕だったらその状況で、まず正気を保てないと思うんですよ。
安田 いや、私もその時期はボロボロでした。捕まっている間は新しい情報が全然入らないし、何もできないですから、どうしても頭の中で自分のそれまでの人生を振り返ることになるんです。仕事や人間関係、現在の状況を否定するために「あの時、ああしたのが悪かったのかな」みたいな、人生の選択の後悔を繰り返すわけです。
テリー うわ、それはキツいですね‥‥。
安田 あと、私は人づきあいがあまりうまいタイプではないので、「これまで44年生きてきて、仕事のことはともかく、結局、自分の本当の内面を知ってる人って、誰もいなかったんじゃないか」みたいな否定的なことばかり考えてしまって、つらい時間を過ごしたりもしました。だから「いつか必ず帰れる」と信じて、なるべく将来のことを考える努力をしましたし。人間はどんな状況にも慣れていく、という部分があるんですよね。
テリー 例えば、どんな感じですか。
安田 狭い独房でも、まだルールが緩かった頃は朝起きて「今日は洗濯をして、そのあとは‥‥」なんて1日の予定を考えたりしていて、ふと「独房生活が当たり前になっている」と気づいて、まるで受け入れているかのようで、自分でもこれはショックでした。
テリー 絶望の中でも、人は何か喜びを見つけていくんでしょうね。
安田 そうかもしれないです。運ばれた食事に肉がたくさん入っていると、「今日は、彼らも機嫌がいいらしいな」なんて、うれしかったりしましたから。帰す気があるかどうかのバロメーターにもなるので、大事な情報なんです。
テリー アサ芸らしい質問もしたいんですが、こういう極限状態だと、性欲はどうなんですか?
安田 う~ん、身動きできなかった時期は、ほとんどなかったですね。興奮してしまうと呼吸のリズムも変わって、思わず身動きしちゃうかもしれない(笑)。そもそもイスラム圏は性描写には厳しくて、例えば映画「タイタニック」でヒロインが胸の谷間が見えているドレスを着ているんですが、それすら彼らにとってはエロ扱いなんです。まだ拘束が緩い時期にそれをテレビで見ていたら、怒った彼らにチャンネルを変えられちゃいました(笑)。
テリー へぇ、じゃあAVなんか見たら大変なことになりますね。
安田 あと、日本の活字が読みたくて、彼らのパソコンでネットの電子図書館にアクセスしたことがあったんですが、そこの広告である男性週刊誌の表紙が出てきたんです。やっぱり表紙の女性の胸の谷間が強調されているので、これも大騒ぎになりましたから。
テリー それがアサ芸の人妻ヌードだったら、安田さんの拘束が10年延びていましたよ(笑)。
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