芸能

天才テリー伊藤対談「ガレッジセール・ゴリ(照屋年之)」(3)あのシーンは奥田さんの案

テリー 脚本やセリフ、演出方法に関して、演者から何か言われたことは?

ゴリ 忘れもしないファーストカット撮影の時です。奥田さんがブランコに座っているシーンで、リハーサル後「まだ“奥田瑛二”が残っているので、それを捨ててもらっていいですか」とお願いしたんですよ。演じてもらった信綱という役は、妻を失った喪失感でどうしようもなくなった情けない男なのに、まだ奥田さんのカッコよさ、男の色気が残っていたので。そしたら、「お前、誰に向かって言ってるんだ」と、にらまれて。

テリー うわっ、それはヒヤリとするね。

ゴリ 僕も一瞬、焦ったんですけれど、そこで奥田さんが「冗談、冗談」と笑い始めて。「監督がこの映画のことをいちばんわかっているんだよ。だから、俺は監督の指示に全部従う」と言ってくれたんです。

テリー なんだよ、さっきまではエロ親父扱いだったのに、えらくカッコいい感じじゃない。

ゴリ はい(笑)。酔っ払った奥田さんはエロ話もすごかったですけれど、その合間に「キミはこの脚本をイチから書いて、何度も読んで、書き直して、この世界を創造して現場にやって来たんだよね。だったら、俺よりキミのほうが100%正しい。自分を信じなさい」と。それ以後は、「どういうふうに演じればいいのか」みたいな質問はされますけれど、内容や演出に何か言われたことは一切なかったです。

テリー うれしいよね。それは、奥田さんも監督経験があるからなんだろうな。

ゴリ かもしれないです。他のスタッフ・キャストもみんな本当に僕を信頼してくれて、それは感謝しかないですね。

テリー 奥田さんの役は徹底的に情けない男で、前貼りこそなかったけど、最初のシーンでチ○チンの見えそうなパンツをはいていたのが、いい味出してた。

ゴリ 黄ばんだ白いブリーフですよね、あれは奥田さんの案なんですよ。当初はヨレヨレのトランクスだったんですが、「これ、白のブリーフがよくないか?」と。「こんな奥田瑛二、OKなんですか?」っていう感じですよね(笑)。

テリー 奥田さんの言葉じゃないですけど、ゴリさんは監督だけじゃなく、脚本も書くじゃないですか。他人の脚本では撮らないの?

ゴリ 自分が描きたい世界を撮りたいので。他人の原作や脚本っていうのは、今は撮りたいって、まだ思えていないですね。自分がお笑い芸人だからかもしれないんですが、他人が書いたネタでコントする、みたいな気持ち悪さかもしれないです。

テリー うん、なんとなくわかる気がする。

ゴリ 芸人は、みんな自分たちで考えた作ったコントを見てもらいたいと思っているし、それこそが自分たちの味だと思うんですね。もうちょっと監督としてこなれてくれば、そこはまた変わってくるのかもしれませんが。

テリー 監督によっては、脚本を撮影中に書き直すこともあるけど、そういうことは‥‥。

ゴリ ありましたね。冒頭の場面はなかなかプランどおりにいかなかったので、その日の夜に書き直しました。

テリー そうか、それも作品世界をゴリさんがモノにしているからこそできることだよね。

カテゴリー: 芸能   タグ: , , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    ゲームのアイテムが現実になった!? 疲労と戦うガチなビジネスマンの救世主「バイオエリクサーV3」とは?

    Sponsored

    「働き方改革」という言葉もだいぶ浸透してきた昨今だが、人手不足は一向に解消されないのが現状だ。若手をはじめ現役世代のビジネスパーソンの疲労は溜まる一方。事実、「日本の疲労状況」に関する全国10万人規模の調査では、2017年に37.4%だった…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , , |

    藤井聡太の年間獲得賞金「1憶8000万円」は安すぎる?チェス世界チャンピオンと比べると…

    日本将棋連盟が2月5日、2023年の年間獲得賞金・対局料上位10棋士を発表。藤井聡太八冠が1億8634万円を獲得し、2年連続で1位となった。2位は渡辺明九段の4562万円、3位は永瀬拓矢九段の3509万円だった。史上最年少で前人未到の八大タ…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , |

    因縁の「王将戦」でひふみんと羽生善治の仇を取った藤井聡太の清々しい偉業

    藤井聡太八冠が東京都立川市で行われた「第73期ALSOK杯王将戦七番勝負」第4局を制し、4連勝で王将戦3連覇を果たした。これで藤井王将はプロ棋士になってから出場したタイトル戦の無敗神話を更新。大山康晴十五世名人が1963年から1966年に残…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
フジテレビ・井上清華アナ「治らない顎関節症」と「致死量ストレス」の不穏な関係
2
新2軍球団「オイシックス新潟」でくすぶる元広島・薮田和樹と元阪神・高山俊の「1軍復帰ロード」
3
あの「号泣県議」野々村竜太郎が「仰天新ビジネス」開始!「30日間5万円コース」の中身
4
【ドラマ「Believe」】受刑者キムタク「スタイリッシュでカッコいい&丸刈りナシ」押し売りだらけの超ウンザリ感
5
上毛電鉄「800形」新型車両が全線営業開始!「700型」とは違う「ガッカリ&歓喜」ポイントがあった