スポーツ
Posted on 2019年03月21日 09:58

伝説の「平成・春のセンバツ対決」猛打の智弁和歌山が投手力を爆発させた!

2019年03月21日 09:58

 平成以降に開催された春夏の甲子園で最も多い大阪桐蔭の63勝に次ぐ61勝を挙げている智弁和歌山。優勝は春夏3回、準優勝4回を誇っている強豪校で、その代名詞は“猛打・智弁和歌山”。だが、そんなチームが投手力で勝ち抜いた大会がある。1996年の第68回春の選抜だ。

 この年の智弁和歌山は2年生が主体の若いチーム。中心にいたのがエース・高塚信幸(元・近鉄)-中谷仁(元・阪神など)のバッテリーだった。高塚は「(連投になるとヒジに負担がかかり)フォームが乱れてしまう」という理由でみずからスライダーを封印。その右腕から投げ下ろす快速球とカーブだけという投球スタイルを選択。1回戦の鵬翔(宮崎)戦で3‐0の2安打完封勝ちを収めると2回戦の沖縄水産との試合も4‐3で勝利し、ベスト8へ進出。そして大激戦となった準々決勝を迎えるのである。

 相手は東京の強豪・国士舘。高塚は大会最速のMAX143キロの直球を武器に国士舘打線を抑えると、対する国士舘のエース・高野修平も左腕からの最速138キロの直球で智弁和歌山打線を翻弄。気づけばスコアボードにはゼロの数が24個も並んでいた。その投球内容は12回を投げ、高塚は被安打4、9奪三振。一方の高野は被安打8、6奪三振。無死からの走者が2度牽制球で刺されるなど、智弁和歌山がわずかに押しながらも点が取れない状況が続いていた。                    

 均衡が破れたのは13回表。智弁和歌山は2死ながら一、三塁のチャンスをつかむと8番・中山貴文が値千金の中前適時打。さらに続く高塚がレフトへの2点適時二塁打を放ち、その裏の国士舘の攻撃を自身で押さえ、3‐0で智弁和歌山が激闘を制したのであった。

 この試合の勝負の分岐点となったのは11回裏の国士舘の攻撃だ。智弁和歌山は2死一、三塁の一打サヨナラ負けのピンチを迎えたのだが、この絶体絶命の場面を救ったのが高塚の女房役である中谷。国士舘ベンチが意表をつく重盗を仕掛けたのだが、これを慌てず冷静に対処、ピンチを脱したのである。中谷はこの試合、打撃でも2安打を放ち勝利に貢献。ちなみにこの中谷とはこの1年後のドラフトで阪神から1位指名され、のちに東北楽天‐読売と渡り歩くことになる。昨年8月には恩師である高嶋仁前監督からバトンを受け、母校・智弁和歌山の監督に就任。監督1年生ながら今年の春の選抜に挑むことになった。

 そんな中谷監督にとって、選手として初の甲子園出場となった23年前の春の選抜大会は、準決勝の高陽東(広島)戦にも勝利し、決勝戦へと進出。しかし、最後はエース・高塚が力尽き、優勝候補の鹿児島実相手に3‐6で敗退。無念の準優勝に終わっている。監督として初采配を振るうことになる今大会ではその時逃した栄冠を勝ち取ることが出来るだろうか。

(高校野球評論家・上杉純也)=文中一部敬称略=

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