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記事全文を読む→ビートたけしの名言集「ドラマチックな“ビートたけし一代記”」
10年程前、若手の弟子数人で、殿にご飯をごちそうになっていた時のこと。
なぜか年齢の話になり、殿が「お前ら、いくつになった?」と、一人一人に聞いて回ったことがありました。その場にいた若手の大半は30~32歳あたりで、最後に聞かれたわたくしが「はい、36歳になりました」と、ぐっと平均年齢を上げると、殿がすかさず、「36! お前、早く売れろよ!」とツッコみ、ドッと笑いに包まれた夜がありました。あれから10年‥‥。わたくし、いまだまったく売れる気配のない日常を、屈託なくまい進しております。それはさておき、この時、年齢の話の流れから、わたくしが「殿は売れた時、やっぱりうれしかったんですか?」と、かなり頭の悪い質問をぶつけると、
「まー、最初はそれなりにうれしかったけど、途中からは忙しすぎて、それどこじゃなかったな」
と、殿はていねいに答えてくれたのです。
さらには、殿がいかに速いスピードで芸能界のあらゆる階段を駆け上がり、それに伴い、給料が倍々ゲームで増えていった話や、弟子がどんどん増え、その弟子たちと毎日朝まで飲み、寝ずに早朝野球をやり、昼から仕事に向かうというループを何年も繰り返して、毎日が非日常であった等々、まるで何かのおとぎ話でも聞いているかのような、あまりにも浮世離れした“ビートたけし一代記”をガッツリと聞かせていただきました。改めて〈これほど激しくドラマチックな人生を送った人間が他にいるのか!〉と、驚がくしたことをよく覚えています。
この日、殿はこんなことも言っていました。
「夢が叶うなんてのは、子供の頃に欲しかった物が朝起きて目の前にあったら、そりゃ~叶ったことになるけど、大人になって売れてよ、若い時欲しかったポルシェを買ったって、そんなにうれしくもねーんだよ。だって、もうその時は、それなりに努力して働いて買ったわけで、そりゃー、これだけ働いてりゃ、ポルシェぐらい買えるだろって気持ちになってるから。それは夢が叶ったとはまた違うんだよな」
ちなみに、殿が初めてポルシェを買いに行った際、代金さえ払えば、そのままポルシェに乗って帰れると思い、しこたまキャッシュを持ち、ディーラーに行ったそうです。この日は他にも、漫才ブーム真っただ中の頃、ポケットいっぱいにキャッシュを詰め込み、B&Bの洋七師匠と、銀座のクラブに繰り出した際、洋酒を勧められ、
「ヘネシー? そんな外国人のねーちゃんはいらない! 日本人の女の子を付けてくれ」
と、懇願した話等々“売れてからのおっちょこちょい話”をいくつも聞かせてくれたのでした。
しかし、売れに売れて、お金を死ぬほど稼いだ経験のないわたくしには、キャッシュでの外車購入も、銀座での豪遊も、しつこいようですが、もうそれはうらやましいかぎりの“おとぎ話”なのです。
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◆プロフィール アル北郷(ある・きたごう) 95年、ビートたけしに弟子入り。08年、「アキレスと亀」にて「東スポ映画大賞新人賞」受賞。現在、TBS系「新・情報7daysニュースキャスター」ブレーンなど多方面で活躍中。本連載の単行本「たけし金言集~あるいは資料として現代北野武秘語録」も絶賛発売中!
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