相次ぐ摘発にもかかわらず、依然として被害があとを絶たない闇金トラブル。その背景には、複数の消費者金融からカネを借り、資金繰りがままならない借り手の存在も無視できない。最近では一流企業の社員も手を出しているという「闇金」の知られざる実態を記した〈闇金日記〉を独占入手。その驚愕の中身を初公開する──。
○月×日 今日は、銀行員が借りに来た。やはりネットの広告の効果は絶大。今日は3本(3社の名前で広告を)打った。さすがに、(貸付額)5万円は渋ったけど何とか口説くことに成功。このまま飼育、教育させて慣れさせないといけないだろう。
ノートの断片に書かれた生々しい言葉の数々──。これは都内の闇金業者の黒田義人氏(仮名)が備忘録として、毎日つけているというもの。黒田氏によれば
「一流企業の社員とか肩書は関係ない。彼らは消費者金融を利用できない立場なので、『ブラックリストに情報が載らないで利用できる』と言うと飛びついてきます。全体の1割ぐらいのお客さんが誰もが知っている一流企業の人ですよ」
そして黒田氏は、個人情報を記した借用書のリストを取り出した。中には、東京電力やNHK、海上自衛隊、日産といった一流の企業や組織に在籍する借り主がズラリ。こうした借り主はすでに消費者金融のブラックリストに名前が載り、もはや相手にされない人たちだという。その理由も千差万別だ。黒田氏が言う。
「ウチの場合は、ネットの検索で『ブラック』とか『即日OK』とかキーワードを打ち込むと上位に検索されるようなシステムになっている。申し込んでくるお客さんもほとんどの人は闇金だとわかっていますよ。一流企業のお客さんは、“冠婚葬祭”と言ってくるケースが多い(笑)。レジャーとか言うと、こちらの印象が悪いことを熟知している。信用のある会社なら、職場に連絡が入れば、否応なしに対応せざるをえませんから。中には、『異動しました』とか言い逃れをするので『責任者出してよ』となりますけど‥‥」
○月×日 いきなり(借り主が)連絡つかなくなった。一日中連絡つかず。さっそく、職場や家族に連絡し「連絡つかないんですけど」と反応を見ることに。返す気があればすぐにコールバックがあるだろう。でもどうもなさそうだな、折り返しの連絡がないようだから、借りバク(注:バッくれること)じゃん。よしこっちも徹底的にやるべし。
黒田氏が解説する。
「ウチの場合は返済の期日を迎えて一日連絡が取れないとすぐに家族や職場にも伝言します。返す人は理由をつけても連絡をよこすんです。でもそうでない人は、回収するために必要な手段を講じることはありますね」
○月×日 15万円をようやく回収できた。本人が不在なので、身内のマスコミの人間を1時間半にわたって6台の電話で追い込んだ。電話を鳴らしっぱなしにしたら、本人は慌てて「身内だけはやめてくれ。15万円必ず返すから」と。「絶対に返しますから信用してください」とカネを引っ張って、裏切られたら、僕たちも人間だから極度に追い込むしかないわな。やはり重要なのは、受け付ける段階での「身内の聞き込み」に尽きる。カネをごそっと借りてトンズラされたらたまったもんじゃない。