社会

震災から1000日が経過… 復興庁は発表できない被災地の終わりなきトラウマ地獄(1)

 12月4日で東日本大震災発生から1000日が経過した。しかし、宮城、岩手、福島の3県を中心に避難者は今なお27万人を超え、被災者たちは心にさまざまなトラウマを抱えて日々苦しんでいる。復興庁発表の数字では表れない「地獄の現状」に迫った。

 復興庁によると、東日本大震災で被災し、自宅を離れて避難している人は11月14日の時点で27万7609人。そのうち、プレハブの仮設住宅には約4万6000戸に約10万人が暮らしている。

 また、県外に避難している人は宮城、岩手、福島の3県で5万8309人。避難先は47都道府県の1185市区町村にわたる。

 社会部記者が言う。

「一時的な避難ではなく、人口動態に目を向けると、国立社会保障・人口問題研究所は今年4月、『地域別将来推計人口』で、福島県の人口はこれから30年で3割近く減ると予測しています。現在の人口は194万人ですが、2040年には148万5000人という数字を出しているんです。言うまでもなく福島第一原発事故の影響です」

 原発事故については原発に近い被災地ばかりに目が行きがちだが、福島県最大の商業都市・郡山市も線量が高く、8年後の2021年には郡山市から新生児がいなくなる。すなわち、同市では徐々に子供を産む人がいなくなりゼロになってしまうという予測すらあるのだ。

 郡山市に住む男性会社員(50)がこう嘆く。

「私の自宅は郡山市内の高台にあるんですが、今も庭の線量は0.8マイクロシーベルト、家の中でも0.2マイクロシーベルトある。被災地の帰宅準備地域(避難指示解除準備区域)だって、空間線量はウチより低いよ。なのに、向こうは月々1人10万円もらっている。郡山、福島の人は、一昨年の12月に県から1人8万円。18歳未満は40万円。さらに未成年で避難していると20万円上乗せしてもらったけど、それっきりだった。これって不公平だよ」

 住民感情の対立といえば既報の、いわき市民と、同市が数多く受け入れている双葉郡からの避難民との間で起きている対立などは氷山の一角だという。

 前出・会社員が続ける。

「避難民の中にはいわき、郡山、福島の3市の仮設住宅にそれぞれ家族を住まわせている人もいると聞いた。こっちは家が半壊し自力で建て直したというのに、東電から手当をもらい、別荘でもあてがってもらうみたいに仮設住宅を何軒も持っているとは許せないですよ」

 もちろん、こうした「不正入居」はほんの一部のケースにすぎないようだが、かつてロシアのチェルノブイリを取材し、東北の被災地を取材中のジャーナリスト・中筋純氏が語る。

「福島県民の間に生じた不和や感情的なシコリに関して言えば、実は東電にしてみると被災者に一枚岩で向かってこられるより分裂してくれたほうが御しやすい。チェルノブイリを取材してわかったのは、政府が13万を超える被災民を“分断して”強制移住させたという事実。分断によって国に対する不平不満が大きくならないよう力をそぎ落とした。その代わり放射能も原発の30キロ圏内に閉じ込めることに成功した。しかし日本の場合は被災者の分裂もあるうえ、放射能に汚染された瓦礫を日本中にばらまいたまま。チェルノブイリから何も学んでいない」

 ちなみに、原正夫前郡山市長は原発事故の直後に家族を県外へ避難させたという。

「オレたちが本当に困っている時に、自分の家族だけ安全圏に逃がしやがって。あの人が今年の選挙で落選するのは当然なんだよ」(前出・会社員)

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