エンタメ

アサ芸世代1000人アンケート 後世に遺したい「テレビ時代劇」(2)桃太郎侍 高橋秀樹 初めは悪人を「峰打ち説教」

「ヒーロー」はいつの世も必要
「桃太郎侍」で、刀をクルクルって回して鞘に納めるシーンもしくじったことがきっかけで生まれました。亡くなった悪役の安倍徹さんに「オレ、コッチからこう斬るから、こういう形で倒れてくれたら、そのまま刀をパッと納められるから」と打ち合わせしているのに、逆から斬りかかってきて、一瞬、間があった。その時にクルクル回して納めたら、またまた監督が
「それ、いいね」って。 こういうふうに、新たに生まれた殺陣は、いっぱいありますよ。
-*-*-*-*-*-*-
「遠山の金さん」では、町人姿での接近戦が多かったため、新体操のリボンや縄にヒントを得て、手ぬぐいを使った立ち回りを考えた。一方、痛快時代劇「三匹が斬る!」(87.95年・テレ朝系)は、共演の役所広司、春風亭小朝が現代風の言葉遣いやダジャレを駆使して台本どおりにしゃべらない。そこで、自分が時代劇の様式の部分を引き受けようと考え、斬ったあと、懐紙で刀身を拭き、その懐紙が舞う中、鯉口を鳴らして刀を納めるというシーンが生まれた。
-*-*-*-*-*-*-
「三匹」は新感覚の時代劇で、実におもしろかった。私がばったり小朝ちゃんと会うシーン。「おい、どうしていた?」と尋ねるんだけど、視聴者はこれまでのことは映像で知っている。それじゃおもしろくないということになって、小朝ちゃんが「かくかくしかじか、よ」。これで説明は全部終わり、みたいな(笑)。
-*-*-*-*-*-*-
「水戸黄門」が12月で終了すると発表され、民放の時代劇シリーズは消えてしまう。今の時代、痛快時代劇は必要とされていないのか?
-*-*-*-*-*-*-
 時代劇のよさは、ヒーローはよりカッコよく、ワルはより悪く。それを極端なまでに演じても、全然違和感がない。こんな単純な勧善懲悪はない。これがやっぱりオモシロイ。それが減ってきているのは、映像に出ている悪い人よりも、今生きている悪い人たちのほうが多くなったということですね。時代劇を作りにくい環境ですね。
 それに、ワルの役者がいなくなりましたね。かつて進藤英太郎さん、吉田義夫さんらは出てきただけで、ワルだとわかりましたからね。僕が初めて京都の東映の撮影所に行った時、台本に「大名行列」とひと言書いてあるだけで、衣装さんもカツラさんも小道具さんも全てを理解していて、行列の先頭から最後の人たちの持ち物などがズラッと並ぶんですよ。東京では、資料なしにはできない。それが東映の京都では、すーっと並ぶ。想像を絶するぐらい凄い。こういった職人技は財産です。若い人に引き継がないといけない。
 役者は半年か1年あれば育ちますけど、こういう専門職の人たちは、今、とだえてしまうと、残らないかもしれない。それが危惧しているところです。

カテゴリー: エンタメ   タグ:   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<マイクロスリ―プ>意識はあっても脳は強制終了の状態!?

    338173

    昼間に居眠りをしてしまう─。もしかしたら「マイクロスリープ」かもしれない。これは日中、覚醒している時に数秒間眠ってしまう現象だ。瞬間的な睡眠のため、自身に眠ったという感覚はないが、その瞬間の脳波は覚醒時とは異なり、睡眠に入っている状態である…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<紫外線対策>目の角膜にダメージ 白内障の危険も!?

    337752

    日差しにも初夏の気配を感じるこれからの季節は「紫外線」に注意が必要だ。紫外線は4月から強まり、7月にピークを迎える。野外イベントなど外出する機会も増える時期でもあるので、万全の対策を心がけたい。中年以上の男性は「日焼けした肌こそ男らしさの象…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<四十肩・五十肩>吊り革をつかむ時に肩が上がらない‥‥

    337241

    最近、肩が上がらない─。もしかしたら「四十肩・五十肩」かもしれない。これは肩の関節痛である肩関節周囲炎で、肩を高く上げたり水平に保つことが困難になる。40代で発症すれば「四十肩」、50代で発症すれば「五十肩」と年齢によって呼び名が変わるだけ…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
【戦慄秘話】「山一抗争」をめぐる記事で梅宮辰夫が激怒説教「こんなの、殺されちゃうよ!」
2
巨人で埋もれる「3軍落ち」浅野翔吾と阿部監督と合わない秋広優人の先行き
3
「島田紳助の登場」が確定的に!7月開始「ダウンタウンチャンネル」の中身
4
前世の記憶を持つ少年「僕は神風特攻隊員だった」検証番組に抱いた違和感
5
前田日明「しくじり先生」で語らなかった「最大のしくじり」南アフリカ先住民事件