「ヒーロー」はいつの世も必要
「桃太郎侍」で、刀をクルクルって回して鞘に納めるシーンもしくじったことがきっかけで生まれました。亡くなった悪役の安倍徹さんに「オレ、コッチからこう斬るから、こういう形で倒れてくれたら、そのまま刀をパッと納められるから」と打ち合わせしているのに、逆から斬りかかってきて、一瞬、間があった。その時にクルクル回して納めたら、またまた監督が
「それ、いいね」って。 こういうふうに、新たに生まれた殺陣は、いっぱいありますよ。
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「遠山の金さん」では、町人姿での接近戦が多かったため、新体操のリボンや縄にヒントを得て、手ぬぐいを使った立ち回りを考えた。一方、痛快時代劇「三匹が斬る!」(87.95年・テレ朝系)は、共演の役所広司、春風亭小朝が現代風の言葉遣いやダジャレを駆使して台本どおりにしゃべらない。そこで、自分が時代劇の様式の部分を引き受けようと考え、斬ったあと、懐紙で刀身を拭き、その懐紙が舞う中、鯉口を鳴らして刀を納めるというシーンが生まれた。
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「三匹」は新感覚の時代劇で、実におもしろかった。私がばったり小朝ちゃんと会うシーン。「おい、どうしていた?」と尋ねるんだけど、視聴者はこれまでのことは映像で知っている。それじゃおもしろくないということになって、小朝ちゃんが「かくかくしかじか、よ」。これで説明は全部終わり、みたいな(笑)。
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「水戸黄門」が12月で終了すると発表され、民放の時代劇シリーズは消えてしまう。今の時代、痛快時代劇は必要とされていないのか?
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時代劇のよさは、ヒーローはよりカッコよく、ワルはより悪く。それを極端なまでに演じても、全然違和感がない。こんな単純な勧善懲悪はない。これがやっぱりオモシロイ。それが減ってきているのは、映像に出ている悪い人よりも、今生きている悪い人たちのほうが多くなったということですね。時代劇を作りにくい環境ですね。
それに、ワルの役者がいなくなりましたね。かつて進藤英太郎さん、吉田義夫さんらは出てきただけで、ワルだとわかりましたからね。僕が初めて京都の東映の撮影所に行った時、台本に「大名行列」とひと言書いてあるだけで、衣装さんもカツラさんも小道具さんも全てを理解していて、行列の先頭から最後の人たちの持ち物などがズラッと並ぶんですよ。東京では、資料なしにはできない。それが東映の京都では、すーっと並ぶ。想像を絶するぐらい凄い。こういった職人技は財産です。若い人に引き継がないといけない。
役者は半年か1年あれば育ちますけど、こういう専門職の人たちは、今、とだえてしまうと、残らないかもしれない。それが危惧しているところです。
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