社会
Posted on 2014年04月10日 09:56

知られざる“企業VS企業”の遺恨事件(4)日本経済史に隠された暗闘は数多し

2014年04月10日 09:56

 95年に勃発した「ダイエーvsサントリー」の“ビール戦争”は、企業同士というよりも経営者同士の意地の張り合いが熾烈化の原因だ。発端はダイエーがベルギーから格安のPB(プライベートブランド)のビールを輸入したこと。このダイエーのPB戦略にシェアを食われることを恐れ、内心穏やかでなかったサントリーの佐治敬三会長は、ダイエーのPBビールとそっくりのビールを輸入。ダイエーのライバル業者に売ったのだ。

 これにメンツを潰され、逆上したダイエーの中内功会長は、ビールやウイスキーをはじめコーヒーやジュースなど、あらゆるサントリー製品を売り場から締め出すという荒技に出る。

 意地の張り合いとなった両社は結局は手打ちするが、これには秘話がある。当時ダイエーの広報課長だった野嶋篤氏が語る。

「中内さんは強気の人のように思われていますが、メンツさえ立ててくれれば妥協する度量を持った人です。佐治さんもそうでしょう。そんなトップの意をくんで、慶応大学の村田ゼミで同級生だった中内ジュニアと佐治ジュニアが水面下で動いたのです」

 手打ちで最もホッとしたのは、意外と当のトップ同士だったのかもしれない。

 一方で和解に至らなかった企業トップ同士のぶつかり合いもある。98年に起きた「新日鉄vsNEC」の暗闘だ。経団連(当時)の会長選挙を前に両社のトップが、その座を巡り争ったのだ。経済ジャーナリストが話す。

「それまで経団連のトップは『鉄』か『自動車』の人ばかりでした。『日本経済を牽引したのは我々だ』という自負があった電機業界の総意を受けて、立候補したのがNECの関本忠弘氏でした。一方、旧来勢力からは新日鉄トップの今井敬氏が出馬して、両者の水面下の支持集めは両業界を巻き込んで熾烈なものとなりました。結果は今井氏に軍配が上がりました。さらに、両社に遺恨を残すことになったのは、直後に関本氏が“防衛疑獄事件”に巻き込まれ、失脚したためです。新日鉄の陰謀かとさえ言われました」

 和解なき暗闘は遺恨を生み出す。そのせいなのか、経団連と日経連が統合されて日本経団連となるまで電機業界から会長が選出されることはなかった。

 このように、日本経済史には秘された暗闘劇が数多い。この背景には、いったい何があるのか。

 ジャーナリストの須田慎一郎氏はこう解説する。

「ベースには日本企業のウエットな体質があるのでしょう。本来、企業が目指すべきところは利益の拡大であるのに、メンツや好き嫌いといった感情が先行してしまっている。他社を見下したり、こちらが格上だと言ってみたり、非合理的な経営判断が行われているから、感情的なもつれにつながっているのでは。もちろん日本特有のものとは言いませんが、無用な対立は両社が損をする結果になるのですから、こうした対立が生じる企業は経営が未成熟だと言わざるをえません」

 はたして、日本から「犬猿の企業」が消失することはあるのだろうか。

全文を読む
カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    芸能
    2026年06月05日 11:00

    日本テレビの長寿演芸番組「笑点」の公式Xが、現メンバーの集合写真とともに〈【お知らせ】笑点がついに…重大発表6月7日(日)夕方5時30分から放送〉と6月4日に投稿した。1966年放送開始、今年で60周年を迎えたばかりの看板番組の「ついに」で...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    タグ:
    事件
    2026年06月11日 11:45

    プロ野球の元スター選手の息子が、詐欺容疑で逮捕された。事件としてはそれだけの話かもしれない。ただ、引っかかったのは事件そのものより、父親の仕事にまで響いたことだ。中日、オリックス、楽天で活躍し、引退後は解説者として親しまれてきた山崎武司氏で...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    芸能
    2026年06月11日 20:30

    名物演芸番組「笑点」(日本テレビ系)が「テレビコメディーパネル番組(週間)の最長放送」としてギネス世界記録に認定されたと発表したのは、6月7日の放送だった。2016年から6代目司会を務める春風亭昇太は「この番組を紡いできてくれた先輩たちに感...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    注目キーワード
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2026/6/9発売
    ■650円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク