芸能
Posted on 2022年08月06日 05:59

異端発掘!ニッポン「ロック革命的名盤」/「四人囃子」デビュー作にしてテクニカルハード・プログレの最高峰に!

2022年08月06日 05:59

 74年に発売された「四人囃子」の実質的デビューアルバム(デビュー作は73年の高野悦子の手記を映画化した「二十歳の原点」のサントラ)にして、日本のハード・プログレの最高峰とされるのが「一触即発」だろう。

 ギターの森園勝敏と、キーボードの坂下秀実、ドラムスの岡井大二が結成した「ザ・サンニン」にベースの中村真一が加わり、グループ名を四人囃子に改名。71年5月に行われた「東大5月祭」で鮮烈なデビューを飾り、翌72年4月には、フラワー・トラベリン・バンドの帰国公演でオープニングアクトを務めるなど、本格的テクニカルプログレ・ロックグループとして、音楽関係者から注目を浴びることになった。

 抒情的な歌詞に、ピンク・フロイドやイエス、EL&Pなどのエッセンスを取り入れつつ、ディープ・パープルを代表とするブリティッシュ・ハードのテイストを兼ね備える、当時の日本のロックシーンにおいて類のない、彼らの魅力を詰め込んだのが本作だった。

 ターンテーブルに針を落とした瞬間から始まる、当時、画期的だったメロトロンを使用した「hΛmaebeθ」に続き、プログレ的なアプローチにフォーク調のシュールな歌詞を乗せた「空と雲」「おまつり (やっぱりおまつりのある街へ行ったら泣いてしまった)」が、アナログ盤のA面。そしてB面が12分を超える大作で、ロック史に残る傑作と言われるタイトル曲に、サウンドエフェクトを多用した「ピンポン玉の嘆き」というラインナップ。

 四人囃子のメンバーは当時、まだ20歳そこそこ。しかし、森園の卓越したギターワークと、岡井が叩き出す超変則ビートが入り乱れた表現力豊かなドラミングは、まさに圧巻のひと言に尽きた。

 テクニックに裏打ちされた演奏に加え、ドラマティックな楽曲の構成力は、海外のロックバンドと比べてもなんら遜色がないほど、完成されていた。

 94年のCD化に当たり、佐久間正英が参加したボーナストラック「空飛ぶ円盤に弟が乗ったよ」「ブェンディア」の2曲も追加。中村とのべースプレイ聴き比べも価値ありだ。

(山川敦司)

1962年生まれ。テレビ制作会社を経て「女性自身」記者に。その後「週刊女性」「女性セブン」記者を経てフリーランスに。芸能、事件、皇室等、これまで8000以上の記者会見を取材した。「東方神起の涙」「ユノの流儀」(共にイースト・プレス)「幸せのきずな」(リーブル出版)ほか、著書多数。

全文を読む
カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    社会
    2025年03月23日 05:55

    胃の調子が悪い─。食べすぎや飲みすぎ、ストレス、ウイルス感染など様々な原因が考えられるが、季節も大きく関係している。春は、朝から昼、昼から夜と1日の中の寒暖差が大きく変動するため胃腸の働きをコントロールしている自律神経のバランスが乱れやすく...

    記事全文を読む→
    社会
    2025年05月18日 05:55

    気候の変化が激しいこの時期は、「めまい」を発症しやすくなる。寒暖差だけでなく新年度で環境が変わったことにより、ストレスが増して、自律神経のバランスが乱れ、血管が収縮し、脳の血流が悪くなり、めまいを生じてしまうのだ。めまいは「目の前の景色がぐ...

    記事全文を読む→
    社会
    2025年05月25日 05:55

    急激な気温上昇で体がだるい、何となく気持ちが落ち込む─。もしかしたら「夏ウツ」かもしれない。ウツは季節を問わず1年を通して発症する。冬や春に発症する場合、過眠や過食を伴うことが多いが、夏ウツは不眠や食欲減退が現れることが特徴だ。加えて、不安...

    記事全文を読む→
    注目キーワード
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2025/7/22発売
    ■620円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク