自民党議員と旧統一教会(世界平和統一家庭連合)との関係が次々と明るみに出る中、当の自民党同様、公明党が煮え切らない態度に終始している。8月2日に国会内で開かれた記者会見でも、山口那津男代表の舌鋒は以下のように鈍かった。
「自民党の中で関わりを持った人が、説明責任を果たしていくことが大切だ」
「社会的に問題を抱えたり、トラブルを多く発したりしている団体について、政治家の側は選挙の支援を求めることや、国民の誤解を招くような振る舞いは控えるべきだろう」
なぜかくも歯切れが悪いのか。公明党の内情に詳しい政治ジャーナリストは、
「山口代表は同じ2日の会見で『宗教団体、あるいは信仰を持つ立場の人が政治活動をしたり、政治家を支援したりすることは、憲法上、保障されたものだ』『人道や人権などの価値観を政治に反映していくことは民主主義の望ましい姿だ』と、しっかりクギを刺している。あげくには『(旧統一教会問題を)政治と宗教一般のことに、いたずらに広げるべきではない』などと予防線を張る、苦笑モノの発言まで。要するに、山口代表は旧統一教会問題が公明党の支持母体である創価学会に飛び火することを極度に警戒しており、その結果、一連の旧統一教会問題に対しては正面切って批判することができず、及び腰になっているということだ」
こう前置きした上で、次のように明かすのだ。
「創価学会は、50年代初頭に始まる『折伏(しゃくぶく)闘争』で信者数を爆発的に増やした。折伏闘争は折伏大行進とも言われた大規模な入信勧誘運動で、貧困層、病人やその家族、田舎から都会に出てきたばかりの若者などが主な対象、ターゲットとされた。創価学会員によるその勧誘運動がいかに奇異にして強引なものであったかは、他宗派の仏壇を焼き払う『謗法(ほうぼう)払い』や、対象者を大人数で取り囲んで説得する『折伏・弘教(ぐきょう)』などが行われていた事実からも明らかだ。実際、長崎県では入信を強要された19歳の少年が自死に追い込まれるという、痛ましい事件も起きている。それゆえ、山口代表率いる公明党には、一連の旧統一教会問題を契機として、当時、社会的にも問題視された過去を蒸し返されたくない、との強い危機感がある」
ちなみに、戸田城聖会長(第2代)時代に始まった折伏闘争は、池田大作会長(第3代)へと引き継がれる形で、創価学会のさらなる勢力拡大の原動力となった。