A子 昭和の議員だと、愛人に「お手当」をあげてたりしたよね。
神澤 議員からのお手当が少ないから会うのをやめたって秘書もいたよ~。
B美 金の切れ目が‥‥。
神澤 そういう議員の一人から「『月々のお手当を3万円から5万円にするから関係を続けてほしい』とあの子に伝えてくれ」と頼まれたんだけど、金額がケチくさすぎて呆れた(笑)。「そんなこと引き受けられません」って速攻断ったけど、ベテラン秘書って嫌な役回りばかりでツラい。
A子 そんなことまで。
神澤 でも笑える話もたくさんあるよ。野党議員のEはキャバクラで偽名で遊んでて、一人で行かずに秘書を連れてたから、秘書の線からその偽名が永田町で広まった。それがEのイメージと真逆の豪快な偽名で、お前は戦国武将か! って爆笑しちゃった。偽名、言いたいけど言えない(笑)。
B美 銀座のクラブの女性と本気で結婚するつもりだった野党の中堅議員もいたなあ。昔の大物議員は行きつけのクラブとなじみの女性がセットだったけどね。
神澤 これはちょっと怖い話だけど、当時の与党議員に捨てられた愛人秘書がストーカーになったのもあったね。事務所に1日に何百回も無言電話をしてきたり、刃物を持って事務所に入ろうとして、衛視に取り押さえられた現場を見たことがある。
A子 事務所といえば、愛人秘書が野党の大物議員の奥様を事務所の廊下に締め出したって話もあったね。あと、2人の秘書とデキてた野党議員がいて、この女性秘書たちがしょっちゅうバトルを繰り返してたの。議員会館の事務所の前を通りかかると、大声で言い争ってるのが聞こえて「そういう事情だったのか!」と納得した(笑)。
B美 永田町に限ったことじゃないけど、男女の話は難しいね~。
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永田町で生きていくことは、いろいろと気が抜けないものなのである。
神澤志万(かみざわ・しま)永田町歴20年以上の現役政策秘書。女性。著書に『国会女子の忖度日記 議員秘書は、今日もイバラの道をゆく』(徳間書店刊)。