芸能
Posted on 2022年10月13日 09:59

「デビュー50周年アルバム」チャート1位で甦る荒井由実の大傑作/日本音楽シーン「名作裏面史」

2022年10月13日 09:59

 このところ、ユーミンがやたらとテレビに出ているのは、デビュー50周年アルバム「ユーミン万歳!~松任谷由実50周年記念ベストアルバム~」のプロモーションのためだ。その甲斐あってか、10月4日に発売されたアルバムは、ヒットチャート1位を驀進中である。

 このアルバムには、荒井由実時代の懐かしいナンバーも多く含まれている。当時、彼女のバックを務めていた、ティン・パン・アレー(キャラメル・ママ)との感性が見事に融合した「瞳を閉じて」「海を見ていた午後」「やさしさに包まれたなら」などを聴き直すと、74年10月にリリースされた2ndアルバム「ミスリム」の、とんでもないくらいのクオリティーの高さを改めて痛感するはずだ。

 流麗な旋律と新鮮な転調、鮮やかな歌詞表現など、聴く者すべてに衝撃を与えたデビュー作「ひこうき雲」から1年を待たずして発売されたこのアルバムは、まさにユーミンならではの都会的で透明感に満ちた、ソングライティングのセンスが満載。その原因は、シュガーベイブの山下達郎と大貫妙子、吉田美奈子、鈴木顕子(のちの矢野顕子)といったメンツによるコーラスワークにあった。

 全10曲中、コーラスが入っているのは「生まれた街で」「12月の雨」ほか5曲だけだが、さりげなく現れてバックと絡み合うフレージングや、シンプルだがスウィートな広がりを感じさせてくれるそれは、まさに変幻自在。

 中でも、ラジオリスナーだった長崎・奈留高校の女子生徒から「私達の高校には校歌がありません。校歌を作ってくれませんか」との要望を受け、ユーミンが書き下ろした「瞳を閉じて」では「まるで見てきたかのような情景が浮かぶ絵画的な歌詞」に、さらなる透明感を持たせたコーラスが。まさに秀逸のひと言だ。この歌は今でも、卒業式などで歌い継がれているという。

 同アルバム発売後、ユーミンの作品はキャラメル・ママ名義から、夫である松任谷正隆のリーダーシップのもと、歌詞内容も大半がフィクションに移行。そのため、オールドファンの中には「ユーミンの弾き語りテイストは『ミスリム』まで」という声も少なくない。

 70年代半ばという時代にあって、曲作りに始まり、アレンジ、演奏、コーラスがすべて一丸となった荒井由実の大傑作が、この2nd「ミスリム」だったのである。

(山川敦司)

全文を読む
カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    エンタメ
    2026年07月12日 09:00

    自らの体をガス状に変化させ、密室の壁をスリ抜けて犯行を繰り返す。そんな怪人出現の恐怖を描く映画「ガス人間」が現在、ネットフリックスで配信されている。これは1960年公開の東宝特撮映画「ガス人間㐧1号」のリブートだが、本作では小栗旬、蒼井優ら...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    スポーツ
    2026年07月12日 11:00

    「率直に言います。増田選手が勝ちます!ボクシングに100%はないんですけど、比嘉選手は(王座を)獲れないんですよ」自身のYouTubeチャンネルできっぱりとこう断言したのは、元世界王者の亀田大毅氏だ。7月20日に東京・両国国技館で激突する、...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    スポーツ
    2026年07月13日 11:15

    マーリンズか、ソフトバンクか、あるいは大学残留か。大リーグ(MLB)のドラフト会議が7月12日(日本時間13日)にペンシルベニア州フィラデルフィアで行われ、既にソフトバンクから1位指名を受けている佐々木麟太郎内野手は、マーリンズが8巡目(全...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    注目キーワード

    人気記事

    1. 1
    2. 2
    3. 3
    4. 4
    5. 5
    6. 6
    7. 7
    8. 8
    9. 9
    10. 10
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2026/7/7発売
    ■650円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク