芸能

素養ナシ!笑福亭鶴瓶の落語があんまりヒドすぎて…やっぱり「松嶋尚美とアホ話」がお似合いだ

 11月13日、「笑福亭鶴瓶落語会」(池袋・サンシャイン劇場)に行ってきた。

 もともと鶴瓶の話芸はラジオ番組「鶴瓶・新野のぬかるみの世界」(ラジオ大阪)の頃から一目置いていたし、「鶴瓶上岡パペポTV」(読売テレビ)も毎週録画しては、何度も何度も、それこそVHSテープが伸びるほど見返して楽しんでいた。「青木先生」や修学旅行の思い出の「天井から来た宮本」などの、いわゆる「鶴瓶噺」は何度聞いても腹を抱えて笑ったものだ。そんな鶴瓶の「落語」を今回、初めて見ることになった。

「落語会」というからには落語をやると思っていたが、舞台袖から普段着の鶴瓶が緞帳の前に現れ、そのまま喋り始めた。いつもの調子でとりとめのない話を続ける鶴瓶。

 途中、「あれ!?落語会じゃないの?」というこちらの空気を察知したかのように、「この後、ちゃんと落語やりますから」。そして「妾馬(めかうま)」と「死神」が演目であることを明かし、自分の「死神」は18歳の女性だと、とくとくと説明。サウナで落語の稽古をしていた時の話やら、以前「妾馬」を演じている時に「八五郎、おもてを上げぃ」と言うと最前列のお客が「ハイ!」と立ち上がった、などという話をして観客を笑わせるのは、お手のものだ。

 そんなこんなで、ひとしきり客席を沸かせた鶴瓶が下がると、客席は暗転のまま、U-NEXTの「無学 鶴の間」なる鶴瓶の配信番組の広告が映し出された。それが終わると緞帳が上がり、出囃子が流れ、羽織姿の鶴瓶が高座に上がる。いよいよ「妾馬」が始まった。

 ところが、だ。「昔は人間に階級というものがありまして、士農工商という…」との話し出しがやけに早口で、聞き取れない。「サウナなんかで稽古をつけるもんだから、のぼせる前に終わらそうって、早口になったのでは」と勘ぐってしまうほどだ。

 話が進み、お屋敷に上がってからは、八五郎、三太夫、お殿様、お鶴と演じ分けなければいけないのが、上下(かみしも)の切り方はおざなりだし、声色も話し方も大して変わらないから、地口なのか誰が話してるのか、わかりづらい。もうちょっとなんとかならないものか。

 前説で鶴瓶が「兄妹愛の噺です」と説明していたけれど、泣きどころでも泣けやしない。八五郎が酒を呑むにつれ、だんだん酔いが回ってくる様子も描けないし、お殿様の前で都々逸を披露するのもカット。

 休憩を挟んで、今度はお馴染みの「死神」だ。が、「18歳の妙齢な女性の死神」と言われても、声色が変わるわけでもないし、女性らしい柔らかな所作なども全然できていないものだから、噺に入っていけやしない。

 立川流は落語五十席と歌舞音曲をマスターすれば二つ目昇進、真打は落語百席と歌舞音曲という基準があったそうだが、そういう長唄や都都逸やら日本舞踊などで身につくものがあるのだろう。若い頃からタレントとして売れっ子だった鶴瓶には、そういう素養が欠けているのかも、と思った。

 これなら、もう何十回も聞いて内容は知っているが、「青木先生」の方がよかった。「鶴瓶噺は既にしっかりとした芸だ」と、上岡龍太郎が褒めていたのを思い出した。本人的には古典もやりたいのかもしれないが、正直、落語はお世辞にも上手とは言えないような…。

 自宅に帰ってからお口直しにと、志ん朝の「妾馬」を聴いたら、似て非なるものだった。古典落語を受け継ぐ人は大勢いても、松嶋尚美とアホ話できるのは鶴瓶しかいない。春風亭小朝にけしかけられて落語をやり出したらしいが、お願いだから、昔のような「落語をしない落語家」に戻ってほしい。

(堀江南)

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