芸能
Posted on 2025年05月25日 09:57

おしゃべり美女の解放区・ひと言いわせて〈蝶花楼桃花〉まだまだ落語家には見てもらえなくて…

2025年05月25日 09:57

 アサ芸読者の皆さん、こんにちは~! 今月、誕生日を迎えた落語家の蝶花楼桃花でございます。さて、この1年がめでたく吉と出るか? はたまたトラブルの多い凶と出るか? これもまた私自身の日々の行いによって運気も変わってくるものと考え、精進いたしております。

 先日、タクシーでの出来事なんですけど。春風亭一之輔兄さんとの二人会、その後の移動が別々だったので、二手に分かれてタクシーに乗車したんですよ。そしたら乗り込んだ途端に運転手さんが私にこう切り出してきたんです。

「今の人、有名な落語家さんだよ。知ってる?」

「はい! もちろん!」

 と、私が返答する間もなく、運転手さん。

「お姉さん、落語とか聴いたことないでしょ~。まだ若いもんね。あのね、落語っていうのはね~」と始まっちゃった(笑)。その後、延々と運転手さんの落語ガイドを聞かされた次第でございます。

 まあ、それはそれで楽しかったんですけどね。でも、内心どこかで「やっぱり私って落語家に見えないんだな~」なんて思ってみたり。女性というのもあると思いますけどね。

 女性落語家の中では「女流」という呼ばれ方がすごく嫌という人も多いんです。何だか二流って言われている気がするからという人もいます。その気持ち、私もとてもよくわかります。同じように修業をしてきましたからね。ただ、「女流」だろうと、どんな角度からでも落語に興味を持ってもらえるのであれば、今の私にはありがたいことなんですけどね。

 まあ、最終的にはお座布団の上にちょこんと座っているだけで存在感のあるようなおばあちゃん落語家になりたいですね。まだまだ高座では何かしら面白いことを言ってウケを狙おうとしちゃいますが、大先輩のおじいちゃん落語家さんたちって、もう出てくるだけで成立してますからね。「今日はいいお天気ですね」って、楽屋と同じぐらいのテンションでボソボソッとしゃべってもグ~ッと引き込まれちゃう。それぐらい味があるし、言葉ひとつひとつを取っても説得力が違うんですよ。ホント、憧れちゃいます。

 そうそう、憧れといえば、私が俳優の中村倫也さんの大ファンだというのは、スポーツ紙でプロフィール欄に書かれるほど、周知の通り。あっ、ウィキペディアにも書かれてます(笑)。

 それも、そんじょそこいらのファン歴じゃありませんよ~。もうね、かれこれ20年ぐらい。中村さんが小劇場に出演している頃からの大、大ファンなんですっ! デビュー当時、まだ改名前の切り抜きも持ってます。それぐらい、舞台での姿がカッコよかったんですよ。

 もともと舞台が好きで、いろんなお芝居を観に行っていたんですが、あまりにも役柄によって顔が違うから、最初のうちは同一人物だと気がつかなかったんです。カメレオン俳優っていう表現、最近よく耳にしますけど、中村さんはまさにカメレオン俳優ですね。

 最初のうちは中村さんが出演するっていう舞台は同じ作品でも3回ぐらいは観に行っていました。そのうち、バーッと売れっ子になって、内心「ほらね!」っていう優越感みたいなものに浸っていたら、もう最近じゃチケットが取れなくなっちゃって‥‥。

 追っかけというと、私にも全国どこにでも出没するヤマダさんっていうご贔屓さんがいます。もう、私も「ヤマダ」って呼んでて、楽屋のみんなもヤマダを知ってるんですよ。初老の男性なんですけど、ほぼ毎日一緒。だから私の高座には必ずヤマダがいます。前座時代からもうずーっと。ヤマダのいない高座はないっていうぐらい、どこにでも来てくれるんです。地方はもちろん、海外公演にもですよ。「同じ噺しかしないよ」って言っても、「でも、ドイツではドイツの桃花だから」って(笑)。

 しかもですよ! グアム公演の時には奥さんと娘さんまで連れてきて、「うちの父がいつもすみません」「うちの夫がホント、すみませんねぇ」って言われて「いやいや‥‥」みたいな(笑)。

 驚いたのは一之輔兄さんと徳島県で二人会をやった時。みんなから「あ、空港にヤマダいたよ」とか、「ヤマダと一緒にご飯、食べた」って声が上がってもうビックリ! 一之輔兄さんなんか、高座から「今日、ヤマダいる?」とかっていじったりして。そうすると、ヤマダが「やめてくださいよ~」なんて、うれしそうに言うわけですよ。「喜んでるやん!」って(笑)。

 でもね、ヤマダのすごいところは私のプライベートに一切、関わってこないことなんです。イベントとかでしゃべることはあっても、外で話しかけてきたりしない。きちんと線引きをしてくれているから、私、ヤマダで嫌な思いをしたことがないんです。みんながヤマダだったらいいのにっていうぐらいマナーが素晴らしいんですよ。で、同じ噺を何万回と聴いていてもニコニコしてるという、まさにファンの鑑!

 冒頭で話したタクシーの運転手さんには、ぜひとも蝶花楼桃花という噺家、いや、そのファン・ヤマダの存在を知ってもらいたいものですね(笑)。

蝶花楼桃花(ちょうかろう・ももか)東京都出身。2006年、春風亭小朝に入門。前座名は「ぽっぽ」。2011年、二ツ目に昇進。「ぴっかり☆」に改名。「浅草芸能大賞」新人賞を受賞するなど活躍。2022年3月、真打昇進。2019年3月に七代目蝶花楼馬楽が亡くなって以来途絶えていた「蝶花楼」の亭号を復活させ、「蝶花楼桃花」に改名。出囃子は「仙桃」

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