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掛布雅之 阪神・福留は再生できるのか?(1)

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 6月14日付の在阪スポーツ紙には、阪急阪神ホールディングスの株主総会の話題が大きく取り上げられました。株主から「福留の起用法など和田監督の采配に対する不満の声が出た」という報道でした。私も現役時代、何度も新聞で厳しいことを書かれましたから、当事者たちの居たたまれない気持ちが理解できます。株主総会当日の13日、甲子園球場では10日に二軍落ちした福留が、もう一度はい上がるため、手袋が破けるほどバットを数多く振り込んでいました。

 13日はウエスタン・リーグのソフトバンク戦が甲子園で行われ、私も出場選手登録抹消後の福留とは初顔合わせとなり、打撃の話をしました。彼が立派なのは、ちゃんと聞く耳を持っていることです。あれだけの実績のある打者ですから、打撃状態は自分がいちばん理解しているはずです。ですが、どんな打者でも道に迷うこともあるのです。彼も暗闇の中で手助けを求める気持ちがあったのでしょう。私もできるかぎりのサポートをするつもりです。

 再生に向けて大事なことは、現在のベストの形を見つけること。若い時とは柔軟性や筋力、反応などが違うのです。いちばんいい時、中日時代の福留には戻りたくても戻れません。今の37歳という年齢に合った打ち方を自分なりに探す旅に出ないといけないのです。

 不振の原因はクリーンアップの後ろで、「決めるバッティング」を意識しすぎた点にもあります。主に任されていた7番という打順は、後ろの打者の打力を考えると単打や四球でつなぐ意味が薄れます。確率を高めるよりも、たとえ打率2割5分でもホームラン20本以上の打撃を目指そうとしたのでしょう。その考えは間違いではありません。でも、20本のホームランを打つためにやるべきことをやっていなかったのです。

 福留はもともとホームラン王のタイトルを取るような長距離打者ではありません。2度の首位打者に輝いた中距離打者です。ここはぜひ、自分のやってきた野球、足元を見つめてもらいたい。ホームランの短縮がヒットという私のようなタイプとは違い、ヒットの延長がホームランなのです。その順序を間違えたから、自分の打撃を見失ってしまったのです。

 無意識にホームランを狙いにいった結果が降格前の荒っぽい打撃です。「かかと体重」で軸が後ろに倒れ、バットの軌道も体から遠くを回っていました。身近な道具で例えれば、福留の打撃はハンマーで釘を強く叩くようなものです。威力はあっても釘の芯を打てず、まっすぐに刺さらずに曲がってしまいます。本来の彼の打撃はコツコツ叩いて、釘を埋め込むスタイルです。一発で仕留めようとするからスイングがバラバラになるのです。

阪神Vのための「後継者」育成哲学を書いた掛布DCの著書「『新・ミスタータイガース』の作り方」(徳間書店・1300円+税)が絶賛発売中。

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