スポーツ

高校野球に「タイブレーク制」?是非を巡って論争勃発

20140807h

 高野連が「甲子園改革」に乗り出した。「タイブレーク制」導入に向け、加盟高にアンケート調査を実施。来夏の甲子園から実施される可能性も出てきたのだ。ところが、その是非を巡り論争が勃発したのである。

「球児たちの1球にかける思い、昨年からの因縁、高校野球ファンが見たいのは、そんな勝敗ではないドラマなんです。敗者にもスポットが当たるのもそのためであって、そのドラマをタイブレークは台なしにする。私は大反対です」

 こう話すのは、多くの高校野球関連書籍の著者である上杉純也氏。

 このタイブレーク制は、すでに国体や明治神宮大会の高校野球では採用されている。延長10回以降は、一死満塁という状況から始まる。打順も好きなところから始められるので、あっという間に点が入るという仕組みだ。

 かつて、延長18回を戦い抜いて再試合という名勝負もあった。その後も延長15回までというルール改正はあったが、名勝負は存在する。06年の夏の甲子園決勝、駒大苫小牧と早稲田実業の再試合は記憶に新しい。こうした伝説の試合が生まれなくなってしまうのだ。しかも、時折しも駒大苫小牧のエースだった田中将大(現ヤンキース)が肘を故障。高校時代の投げすぎも指摘されている。

「今回のタイブレーク導入はアメリカの差し金なのではないかと思えてきます。そもそも、高校野球はベースボールではなく、日本の文化なのですから、守っていってほしい」(前出・上杉氏)

 一方、アマ野球取材に定評のあるジャーナリストの美山和也氏の意見は違う。

「ファンを納得させるのは困難かもしれないが、私は早くタイブレークを導入すべきだと思っています。夏の地方予選を取材に行くと、熱中症寸前のフラフラの状態で試合に出ている選手をよく見ます。将来の故障うんぬんではなく、乱暴な言い方になりますが、このままだと死者が出かねない状態です」

 尊重すべきは球児の体か、白熱するドラマか‥‥。

 しかし、野球評論家の江本孟紀氏はこう斬言する。

「そもそも、タイブレークは、日本の社会人野球が発祥で、時間も資金も余裕がないから、決められた期間で大会日程をこなすために作られた制度です。延長が減れば、故障が減ると考えるのは非科学的。個人差もあるし、一夏にムチャな球数を投げる球児なんて、何人もいない。そんなに体をいたわりたいなら、野球をやめればいいんです」

 かくいう江本氏は社会人時代にタイブレークを経験。みごとに勝利した。

「1試合だけでしたが、あの勝利は完全に運でした。サッカーのPK戦と同じで、つまらないものです。本当に球児の故障を減らしたいのなら、故障しない投げ方、トレーニング法をきちんと指導するのが先でしょう」(前出・江本氏)

 はたして、日本の夏の風物詩、甲子園大会はどんな形へと変貌していくのだろうか。

カテゴリー: スポーツ   タグ: , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<マイクロスリ―プ>意識はあっても脳は強制終了の状態!?

    338173

    昼間に居眠りをしてしまう─。もしかしたら「マイクロスリープ」かもしれない。これは日中、覚醒している時に数秒間眠ってしまう現象だ。瞬間的な睡眠のため、自身に眠ったという感覚はないが、その瞬間の脳波は覚醒時とは異なり、睡眠に入っている状態である…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<紫外線対策>目の角膜にダメージ 白内障の危険も!?

    337752

    日差しにも初夏の気配を感じるこれからの季節は「紫外線」に注意が必要だ。紫外線は4月から強まり、7月にピークを迎える。野外イベントなど外出する機会も増える時期でもあるので、万全の対策を心がけたい。中年以上の男性は「日焼けした肌こそ男らしさの象…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<四十肩・五十肩>吊り革をつかむ時に肩が上がらない‥‥

    337241

    最近、肩が上がらない─。もしかしたら「四十肩・五十肩」かもしれない。これは肩の関節痛である肩関節周囲炎で、肩を高く上げたり水平に保つことが困難になる。40代で発症すれば「四十肩」、50代で発症すれば「五十肩」と年齢によって呼び名が変わるだけ…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
開幕4番も…楽天・辰己涼介「不振で2軍落ち」実は「とんでもない怠慢プレー」があった
2
病気治療「もちまる日記」休止に追い討ちをかける「ありえないサムネイル画像」問題
3
「万博ライブ中止」大ショック!「ぽかぽか」発ユニットSHOW-WA&MATSURIが直面する「残酷な現実」
4
南原清隆が証明…もう似顔絵も名前表示もテレビ画面に映せなくなった松本人志の「絶望的未来」
5
永野芽郁「田中圭と極秘不倫&二股交際」スキャンダルでトップ女優から転落の悲劇