政治
Posted on 2023年07月11日 17:59

ゼレンスキーを抱き込む剛腕・エルドアン大統領が掴んだ「プーチンの急所」

2023年07月11日 17:59

 トルコのエルドアン大統領が7月7日、ウクライナのゼレンスキー大統領と会談し、ウクライナのNATO(北大西洋条約機構)加盟入りを強く支持したことが、欧米や周辺国で注目されている。

 エルドアン氏といえば、ロシアのプーチン大統領とも親しい。ウクライナ侵攻では世界の食糧難のため、ウクライナ産の輸出穀物を海外に輸送する「穀物合意」のロシア側の合意をとりつけ、存在感を示してきた。

 ただ、エルドアン氏は世界的に見ても指折りの独裁強権主義で、クルド人弾圧などには強い姿勢を見せている。トルコと己の政治的優位のためなら即座に動く行動力と遊泳術は、世界の指導者の中でも突出する。

 シンクタンク研究員が解説する。

「そのエルドアン氏が、プーチン氏が阻止し続けてきたウクライナのNATO加盟にもろ手を挙げて賛成したわけです。当然、各国は何か深い思惑があると見ています」

 そして、こう指摘する。

「トルコでは今年2月、マグニチュード7.8という巨大地震(トルコ・シリア地震)が発生し、16万棟の建物が倒壊・損傷、数百万人が家を失った。被害額は数兆円規模で、今後の欧米の支援は必至です。その支援を受けるためにも、ロシア寄りだけでは成り立たない。そのため今回、エルドアン氏の嗅覚でウクライナのNATO加盟支持を発信したと見られている」

 一方でエルドアン氏は、8月にはプーチン氏とも会談予定だというから、双方の間を巧みに泳ぐ作戦なのかもしれない。

 だが、日本の公安関係者はエルドアン氏の動向の背景を次のように読み解く。

「トルコの国家情報機構(MIT)は世界でも指折りの諜報機関で、これまでイスラム国(IS)の指導者暗殺など数々の実績をあげている。そのMITがロシアについて何らかの弱み、例えば軍事面での切羽詰まった状況の決定的な情報を仕入れた可能性がある。NATO加盟支持もそうだが、そうしたことがなければ、ロシアから預かっていたウクライナの大物捕虜、アゾフ大隊幹部らをウクライナにあっさり帰還させるようなことはしませんよ」

 プーチン氏も黙るエルドアン氏の動向から目が離せない。

(田村建光)

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