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蝶野正洋「やっぱり興行のプロモートをやっていきたい」/テリー伊藤対談(4)

テリー プロレスラーの人って、プロレスでいろんな目に遭ってるから、引退後もたくましいですよね。

蝶野 ちょっとした材料でも、それを商売につなげていくしたたかさはありますよね。基本的に自分はリングの中でのスタイルしか習ってないんですけど、猪木さんとか大仁田(厚)さんとか、トラブルも起こしますけど、やっぱりすごいですから。あれがレスラーなんだと思いますね。

テリー 大仁田さんなんか7回も引退してるからね。

蝶野 大仁田さんは何かあったら、何でもからんできますから(笑)。で、「そこから派生したものがプロレスなんだ」と。それで「電流爆破デスマッチやれ」とかムチャ言ってくるんですよ。

テリー やっかいでしたか。

蝶野 できれば試合はやりたくなかったですね(笑)。

テリー でも、そこが大仁田さんの演出力の高さというか。蝶野さんも本の中で「引退後は自己プロデュース力が大事だ」と書いてますよね。

蝶野 そうですね。肩書がなくなっても自己プロデュースができれば生き残っていけますよね。

テリー 蝶野さんもタレント業はもちろん、アパレルとかボランティアとか、ほんとに幅広く活動されてますよね。

蝶野 ありがたいですね。アパレルの方は家内の才能がなければ始められなかったし、40代の後半で体力の衰えを感じるようになった時には、新日本プロレスも退団しましたし。とにかく何か社会貢献的なことを、ちょっとやっていかなきゃいけないだろうっていうのがあったんですよ。それで2010年だったかな。東京消防庁で普通救命講習を受けて、AEDの普及や啓発活動になっていくっていう流れですね。

テリー 偉いなぁ。あの頃、蝶野さんのTシャツってみんな着てましたよね。俺も着てたもんな。

蝶野 あ、ほんとですか。ありがとうございます。あの頃アメリカだと、例えばロード・ウォーリアーズがパンツをプロデュースしたり、そういうレスラーはいましたけど、日本では俺が割と早い方だったと思いますね。

テリー 今着てる服もそうですか。

蝶野 そうです。

テリー どこで売ってるの?

蝶野 今はネットですね。だから、60歳でしぼんでいくというより、また新しいビジネスをやるぐらいの気持ちでいますね。

テリー 例えば、どんなことを考えてるんですか。

蝶野 やっぱり興行のプロモートをやっていきたいっていうのはありますし、最近は異業種の人たちとの交流もけっこう増えてきたので、そういう企業さんのコンサルタント業とまではいかないですけど、どう付き合って、どういうふうに関わっていけるかっていうことも考えたいですね。そのぐらい体調も戻ってきてるので。

テリー 本の中に政治家について触れてる部分もあるじゃないですか。社会貢献を通して「政治家になりたい」みたいな目標もできたりしたんですか。

蝶野 いやぁ‥‥。前に一度だけそういう話が来たことがあるんですけど、「朝、何時に起きるんですか?」って聞いたら、「8時です」って言われて、「多分、それ無理です」って言ったんですよ(笑)。

テリー アハハ。そんなことないでしょう。蝶野さんなら知名度も抜群じゃないですか。

蝶野 でも、俺のプロレスの全盛期を知ってるのは40代以上で、それ以下はみんなビンタの蝶野ですから。

テリー ああ、ダウンタウンの。リクエストがあれば、ビンタするんですか。猪木さんの「闘魂注入」みたいに。

蝶野 いや、しないですね。「イヤだ」って言って全部断ってます。

テリーからひと言

 何より元気そうでよかったな。60歳なんてまだまだですから。これからもどんどん暴れてほしいね。

ゲスト:蝶野正洋(ちょうの・まさひろ)1963年、米シアトル生まれ。1984年、「新日本プロレス」入門。海外遠征を経て、1989年に帰国以降は武藤敬司、橋本真也と「闘魂三銃士」として活躍、数々の名勝負から「黒のカリスマ」と呼ばれる。1996年、「nWo JAPAN」を結成し、一大ムーブメントを巻き起こした。2010年からフリーランスとして活動。以降はAED救命救急、地域防災の啓発、東日本大震災の復興支援など様々な社会貢献活動を行う。最新著書「『肩書がなくなった自分』をどう生きるか」(春陽堂書店)発売中。

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