格安航空会社「Peach Aviation(ピーチ)」は12月4日に、大阪の関西国際空港とシンガポールのチャンギ国際空港を結ぶ直行便の運航を開始した。この新路線は、観光やビジネス需要の高い両都市を結び、観光業の後押しや経済的な結びつきの強化を目指している。これに、
「新路線の就航には、いくつかの大きな課題が浮き彫りになっている」
と警鐘を鳴らすのは、ベテラン旅行ジャーナリストだ。
「まず、空港アクセスに関する問題です。関西国際空港行きのリムジンバスは国内外の観光客で混雑しており、特に外国人観光客に人気が高いなんば発の便は、発車間隔が30分に1回と少ない。利用者の需要に応えきれていないのが現状です。一方、梅田発の便は10分間隔で運行されているものの、それでもインバウンド需要が高まる中、満席で乗れないケースが多発しています」
ピーチが使用する関西空港の第2ターミナルにも、改善の余地があるとして、この旅行ジャーナリストが続ける。
「国際線エリアにはレストランやカフェなどの飲食店がほとんどなく、空港内での食事の選択肢は限られています。トイレや喫煙所はそれぞれ1カ所のみの設置となっており、利用者が集中する時間帯には混雑するとの苦情が寄せられている。待合エリアの座席が少ないため、長時間のフライトを控えた乗客からは、疲れを感じるという意見も多く聞かれます」
ピーチは今回の新路線就航により、日本にシンガポールの魅力をアピールする狙いを持っている。しかし、空港アクセスやターミナル設備の問題を放置したままでは、利用者の満足度を下げるだけ。年末に向けて、国外旅行やインバウンド需要が拡大を続ける中で、これらの課題に迅速に対応することが求められるのだ。
(旅羽翼)