警視庁が悪質なホストクラブの撲滅に向けた「新たな対策」を検討していることが明らかになった。有識者会議では、違法行為が発覚した店舗を持つグループ会社に対し、新規店舗のオープンを許可しない仕組みの導入が議論された。
だが、この対策に疑問を差し挟む声は多い。ホストクラブ事情に詳しいジャーナリストは、次のように説明する。
「現在の風営法ではホストクラブが摘発されても、グループ会社が店名を変えるなどして営業を続けることが可能です。そのため、警察とのいたちごっこが繰り返されています。仮に今回の対策が実行されたとしても、表向きの代表者や社長を別人に変更し、形式上は個人経営を装う店舗が増える可能性は高い」
悪質ホストクラブが法の抜け道を利用して営業を続けるであろう状況下、可能性が指摘されている中、警視庁はさらに「スカウトバック」と呼ばれる金銭の流れへの警戒を強めている。
これはホストが性サービス店に女性を紹介することで得られる報酬を指す。有識者会議ではこの「スカウトバック」を支払った性サービス店の摘発強化についても、議論が進められている。
ところが、だ。この問題にも解決が難しい構造的課題が潜むのだと、先のジャーナリストは指摘するのだ。
「取り締まりを強化しても、新たな手口が次々と生まれます。例えばインターネット上での匿名性を利用した広告や、SNSを通じたスカウト活動など、現行の法律が対応しきれないケースが増えるおそれがあるのです」
悪質ホストクラブや性サービス業界における違法行為を根絶するためには、単なる規制強化だけでは不十分。業界全体に流れる資金の動きを透明化し、それを追跡可能にする仕組みを整えることが求められる。
店名や名義を変えるだけで事実上の営業を続ける手口に歯止めをかけるため、より徹底した監視体制と厳格な罰則の導入が不可避なのである。