エンタメ
Posted on 2025年01月09日 09:59

「3月で撤退」老舗業者が投げかけた駅弁への「誤った日本食文化と食の工業製品化」激烈苦言

2025年01月09日 09:59

 一時は絶大な人気を誇った駅弁が、岐路に立たされている。米原駅で「湖北のおはなし」など駅弁の販売を行ってきた老舗の弁当店「井筒屋」が、今年3月20日で駅弁事業から撤退すると発表したのだ。理由は米原が交通の要衝ではなくなり、駅弁販売業者としての役割を十分に果たせたから、としている。さらに撤退発表のリリースでは、駅弁業界に次のような厳しい意見を投げかけている。

〈昨今の食文化は娯楽化がもてはやされ、誤った日本食文化の拡散、さらには食の工業製品化が一層加速し、手拵えの文化も影を潜めつつあります。そのような環境に井筒屋のDNAを受け継いだ駅弁を残すべきではないと判断致しました〉

 1966年から京王百貨店新宿店が開催している「元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」は、日本各地で開催される駅弁大会の代表格であり、「駅弁甲子園」として毎年、多くの駅弁ファンが集まる。しかし今年は「例年より来場者が少ない」という声が上がっており、以前のような混雑はみられない。

 どちらも駅弁の凋落を感じさせる出来事だ。あんなにも人気だった駅弁がなぜ、こんなことになってしまったのか。駅弁に造詣の深い食品アナリストは、こう分析するのだ。

「駅弁は地方の弁当製造会社が、地元の食材や料理を生かして作っていました。それぞれ独自のもので、似た弁当はなかったんです。ところがJR東日本の関連会社が運営する駅弁店が東京駅など主要な駅にオープンし、新たな駅弁を次々と販売するようになりました。どれも似たような弁当であり、個性が失われていった。そんな駅弁に消費者が飽きたと考えています」

 井筒屋の「誤った食文化の拡散」「食の工業製品化」はそのことを指摘しているように思える。

 理由はもうひとつ。価格の高騰だ。JR北海道の森駅で販売されている名物駅弁「いかめし」(写真)は、かつてワンコインで買えたが、今は990円(京王駅弁大会での価格)で販売されている。

 京王の駅弁大会で今年販売されている商品を見ると、1000円代のものは少なく、多くは2000円代。中には3000円を超えるものもある。

「駅弁に3000円近くのお金を払うのをためらう人は多い。そんな金額を出すなら駅弁を買うのではなく、旅行先の名物料理を食べた方がいい、と考え方を変えるわけです。値上がりを抑えることは、今の社会情勢を踏まえると難しく、今後もこの問題は続くでしょう」(前出・食品アナリスト)

 庶民は車中のささやかな楽しみすら味わうことができないとは、なんとも寂しい時代になったものである。

(海野久泰)

全文を読む
カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    芸能
    2022年07月05日 17:58

    可愛さ余って憎さ百倍。いやはや、この2人のバトルは本当にすさまじかった。沢口靖子が主演したNHK連続テレビ小説「澪つくし」や、渡辺謙主演の大河ドラマ「独眼竜正宗」の脚本を手掛け、飛ぶ鳥を落とす勢いだった脚本家のジェームス三木氏。ところが19...

    記事全文を読む→
    芸能
    2026年04月06日 15:30

    1991年10月から毎年、春と秋の改編期に放送される「TBSオールスター感謝祭」。TBSの人気番組や新番組に出演する俳優やタレントらがクイズやゲームで競う、いわば番宣番組だ。今年は4月4日に放送されたのだが、番組の名物コーナー「赤坂5丁目マ...

    記事全文を読む→
    芸能
    2026年07月31日 06:45

    堺雅人主演ドラマ「VIVANT」(TBS系)が3年ぶりの続編でも、圧倒的な存在感を放っている。第2シーズンの初回放送は、平均世帯視聴率18.8%(ビデオリサーチ調べ・関東地区)を記録。放送中にはXで世界トレンド1位になった。前作は2023年...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    タグ:
    注目キーワード

    人気記事

    1. 1
    2. 2
    3. 3
    4. 4
    5. 5
    6. 6
    7. 7
    8. 8
    9. 9
    10. 10
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2026/8/4発売
    ■690円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク