サッカーW杯アメリカ大会への出場を逃した、あの「ドーハの悲劇」はなぜ起きたのか。その要因を多くの選手がそれぞれ明かしてはいるが、試合に出場した井原正巳氏が指摘したのは、「油断」だった。前園真聖氏のYouTubeで語ったところによれば、
「あそこで勝っていればアメリカ大会出場できたのにって、そう思っていた。それがダメだったのかもしれない。イラク戦に臨む前から、俺たち勝てばアメリカ大会に行けるんだ、みたいなソワソワしているじゃないけど、まだ決まってもいないのに、イラクに勝てるんじゃねーの、みたいな隙があった。それが最後の失点につながった可能性はある」
なぜ油断してしまったのかといえば、それは経験不足に尽きるという。
「誰もあそこまでの最終予選を経験していない。勝ち切るしたたかさが足りなかった」
さらに連戦で体力的にきつかったこと、カタールの暑さも敗因に挙げた。
しかしドーハで得た教訓は、その後の大会で生かされたと、前園氏は言うのだ。
「西野朗さんと山本昌邦さんが(ドーハに)帯同していた。その経験を西野さんと山本さんはちゃんと(アトランタ)オリンピックに還元してくれた。水分補給も細かくどうすればいいか、A代表のことを五輪代表に落とし込んでくれた」
井原氏もフランスW杯最終予選で加茂周監督が更迭された時、諦めずに最後まで戦えたのはドーハの経験があったからだという。のちに生かされたとなれば、あの悲しみも少しはやわらぐかもしれない。
(鈴木誠)