ソフトバンクホークスは今季、正捕手・甲斐拓也のFA移籍で空いた穴を海野隆司、石塚綜一郎、渡邉陸らで補完してきたが、依然として捕手陣に不安を抱えたまま、交流戦を迎えようとしている。
この状況に、野球解説者の高木豊氏は、
「現実的に補強が必要なのはキャッチャー」
と自身のYouTubeチャンネルで断言し、巨人・小林誠司の名前を挙げた。続けて小林の実力について、
「守りに関しては抜群。打つ方はちょっとアレだけど、守ってくれるというのは大きい」
確かに一理あるが、この高木氏の提案に先んじる形で、プロ通算12年の嶺井博希が、にわかに存在感を見せ始めた。5月11日のオリックス戦では、2打席連続本塁打を含む猛打賞の活躍で、チームに貴重な勝利をもたらしている。
ここまで打率、OPSが昨年比で大幅上昇しており、当面は「嶺井中心」でいけるという楽観論がじわじわと出ているのだ。
嶺井はDeNA時代の2022年、離脱者が続出する中、救世主のごとく1軍登録。今永昇太とバッテリーを組んで、球団にとって52年ぶりとなるノーヒットノーラン達成をアシストした。限られた出場機会の中、試合を決める7本の殊勲打を放ち、勝負強さを見せたのだった。
ソフトバンクは甲斐のFA移籍の人的補償として巨人から伊藤優輔を獲得したが、一時は小林の名前が挙がった。「あまり意地は張らない方がいい」という高木氏のアドバイスに沿うのであれば、鷹のユニフォームに袖を通す小林の姿が見られるかもしれない。
三笠杉彦GMは「選択肢としては常にオープン」という姿勢を見せており、海野を正捕手として育成する方針は継続しつつ、トレードの可能性を排除していない。
嶺井の覚醒は嬉しいサプライズではあるが、これまでシーズンを通して1軍に定着したことがないだけに、小林のようなベテランの存在は頼もしい。
いずれにしても、嶺井の今後の活躍次第で、ソフトバンクの編成プランは大きく変わるかもしれない。
(ケン高田)