NHK朝ドラ「あんぱん」が好調だ。前作「おむすび」がなんの深みもないストーリーのせいで、「朝ドラ」ならぬ「浅ドラ」とのそしりを受け、歴代「朝ドラ」の平均視聴率ワーストを更新。それもあってか、「あんぱん」は開始前から「早く始まってほしい」と大きな期待が寄せられていた。そして豪華すぎるキャスト陣が発表されるたびに、盛り上がりを見せた。
中でも今田美桜が演じるヒロイン「朝田のぶ」を長女とする「朝田三姉妹」は格別で、次女「蘭子」は河合優実、三女「メイコ」が原菜乃華だと知った時は狂喜乱舞。この3人娘を朝から愛でられることに興奮したものだ。
いざスタートすると、これが期待通り。とりわけ第5週(5月5日~5月9日)の「人生は喜ばせごっこ」は絶賛の嵐だった。
蘭子が秘かに想いを寄せていた豪(細田佳央太)から出征直前にプロポーズされ、恥じらいながらも申し出を受けるシーンでは、さすがは映画賞総ナメ、アカデミー賞最優秀主演女優だと納得した。貫禄があり、なおかつ24歳とは思えない色気を感じさせる見事すぎる演技は、完全にヒロインを食ってしまうほどだった。
そして今週。それまで賑やかし程度だった三女・メイコの初恋に、スポットが当てられた。
かねてから推してやまない原菜乃華が、浅黒いメイクのせいもあってか、「ザ・田舎の娘」といった雰囲気に。明るく天真爛漫、末っ子らしい愛らしさを全身で振りまくメイコを演じている姿は、控えめに言っても「最高」だ。
そのメイコが、嵩(北村匠海)に付いて御免与町にやってきた辛島健太郎(高橋文哉)に心惹かれるようになり、いよいよ「うち、好きな人ができたがです。面白うて、一緒におると楽しゅうて。笑顔が素敵で」と健太郎に伝えた。
当の健太郎は「メイコちゃんも面白くて、よか女の子ったい。きっとうまくいくばい」と、まるで他人事のように返す。メイコの顔をまじまじと見つめると、あろうことか「のらくろに似てる」と言う始末だった。
「おのれ、健太郎! よりによって兵隊に扮した黒い野良犬に喩えるとは!」と腹が立ったが、冷静に見ると、確かにちょっと似ている。
ちなみに放送後、某検索サイトのワードに「のらくろ」が上がっていたところを見るに、最近の人は田河水泡の作による漫画「のらくろ」を知らないようだ。当たり前か、戦前の漫画なんだから。
最近はどこの書店でも「あんぱん」人気にあやかって、やなせたかし関連の書籍コーナーが設けられているが、メイコのおかげでやってくるか、「のらくろ」ブームが!
(堀江南/テレビソムリエ)