大相撲元小結の北勝富士(八角部屋)が5月16日に、引退を発表した。両国国技館で会見を開いた北勝富士は、首や膝のケガが続いて満足な相撲を取ることができなくなり、
「そんな気持ちで土俵に上がるのは失礼」
として、決断に至ったという。今後は年寄「大山」として後進の指導にあたる。
10歳からまわしを締めたという北勝富士は、2015年3月場所に初土俵を踏み、前相撲からの出発。翌2016年の7月場所で十両に上がると、11月場所で新入幕を果たした。
2017年7月場所で横綱・鶴竜から初金星を獲得すると、九月場所は日馬富士、11月場所は稀勢の里、翌2018年1月場所に白鵬と、史上2例目となる4場所連続の金星獲得という偉業を達成する。以降は8年間、幕内から一度も落ちることはなかったが、左膝の手術とリハビリのため、今年1月場所を全休し、3月場所は十両に陥落。3勝12敗で幕下に落ちた今場所は、初日から休場していた。
幕内通算360勝(49場所)、三賞3回で金星を7個獲得。2022年7月場所は12勝3敗で優勝決定戦に臨んだが、豊昇龍に敗れ、惜しくも幕内優勝はならなかった。
そんな北勝富士に憧れた力士は多いが、中でも今場所が綱取り場所となった大関・大の里は、北勝富士の影響で日体大に進学したという。
「大の里の本名は中村泰輝で、北勝富士の中村大輝とは漢字1字違いの同じ『なかむらだいき』。大の里は少年時代から自身と同じ名前の強い力士が日体大にいることを認識しており、北勝富士に憧れて日体大に進んだのだそうです」(相撲ライター)
引退の報に触れた大の里は「一度は対戦してみたかったけど、叶わなかった」と残念がった。今後は北勝富士が育てた弟子が「横綱・大の里」に挑戦する未来に期待したい。
(石見剣)