「謹んでお受けいたします。横綱の地位を汚さぬよう、稽古に精進し、唯一無二の横綱を目指します。本日はありがとうございました」
これが新たに第75代横綱となった大の里が述べた口上である。茨城県阿見町の二所ノ関部屋で昇進伝達式が行われ、大の里は師匠での二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)とともに、使者の出羽海親方(元幕内・小城乃花)と秀ノ山親方(元大関・琴奨菊)を出迎えた。
8年ぶりの和製横綱誕生の興奮が冷めやらないまま、相撲界は今後、さらなる盛り上がりを見せることになる。というのも。次の名古屋場所の成績次第では、史上初の快挙が達成される可能性が出てきたからだ。それがなんと「3人の新大関の同時誕生」である。
先の夏場所では東関脇・大栄翔が10勝5敗、西関脇で元大関の霧島が11勝4敗、西小結・若隆景は12勝3敗と、それぞれ2桁勝利を挙げた。これで直近2場所の成績は大栄翔と霧島が19勝、若隆景は21勝だ。
大関昇進の目安は直近3場所で33勝。3力士が名古屋場所初日から勝ち星を積み重ねていけば、同時にこの目安に到達するかもしれない。しかも大の里が横綱に上がったことで、大関は琴桜だだひとり。いわば「空席」がある。仮に3場所合計33勝に届かなくても、優勝あるいは2横綱を倒すことになれば、昇進は十分にありうる。
過去、2大関が同時昇進した例はあるが、3力士となると史初。2横綱になり今度は新大関誕生が望まれる中、大栄翔、霧島、若隆景からも目が離せないのである。