「コメは買ったことがない」発言で辞任した江藤拓前農水相の後釜は、小泉進次郎前選挙対策委員長に――。小泉氏は自民党の農林部会長を務めた経験があり、農政に明るいとされる。
中央大学法学部の中北浩爾教授は日経新聞へのコメントで、小泉氏の課題を指摘した。
「スーパーで5キロの米の価格は現在、4500円程度。かつてのように2000円台前半に戻すのは、公正価格の観点から言って望ましくないが、3000円台前半ぐらいに下げられるか」
裏返せば、今のコメ価格を「高いと思わない」と言い放つJA全中の抵抗を押しのけて価格を下げることができるか、が勝負どころとなる。中北教授は続けて、こんな期待を寄せる。
「成功すれば首相待望論が高まり、ひいては自民党を救い、日本政治を立て直す救世主になるかもしれません」
その一方で、自民党内では小泉氏の発言を懸念する声が出ている。環境相時代、政府が2030年度の温室効果ガス排出を46%(2013年度比)削減する目標を定めたことを受けて、TBSの番組で、
「くっきりした姿が見えているわけではないけど、おぼろげに浮かんできたんです。46という数字が」
と述べた。独特の言い回しから「進次郎構文」といわれるようになった。
小泉氏の妻がフランス出身の滝川クリステルであることから、ある自民党中堅議員は、
「フランス革命の時の『パンがなければ、ケーキ(正確にはブリオッシュ)を食べればいいじゃない』ではないが『コメがなければ寿司を食べればいいじゃない』なんて言い出さなければいいが」
そう言って苦笑しつつ、「進次郎構文」を不安視するのだった。この起用は吉と出るか凶と出るか。
(奈良原徹/政治ジャーナリスト)