JRA3歳牝馬クラシック戦線の第2弾として行われる、GⅠ・オークス(5月25日、東京・芝2400メートル)。今年は第1弾にあたるGⅠ・桜花賞(阪神・芝1600メートル)の上位入線組が人気になりそうだが、まず頭に入れるべきは「桜花賞における着順は、必ずしもアテにならない」という経験則だ。
ポイントとなるのは、桜花賞から800メートルもの延長を余儀なくされる距離。アーモンドアイやリバティアイランドなど「10年に一度の名牝」ならいざ知らず、桜花賞で好走した人気馬がオークスでアッサリと消えるケースは少なくない。逆に言えば、距離不足から桜花賞でイマイチだった馬にも「チャンスあり」ということになる。
もっとも、明らかな距離不足にもかかわらず、桜花賞で上位に食い込んだ馬は、その限りではない。今年で言えば、桜花賞2着のアルマヴェローチェ、同3着のリンクスティップがこれに該当する。両馬はかねてから「桜花賞よりもオークス向き」と評されていた素質馬だけに、桜花賞以上の激走があっても驚けない。
オークスでの距離適性という点では、GⅡ・フローラステークス(東京・芝2000メートル)、GⅢ・フラワーカップ(中山・芝1800メートル)、L・スイートピーステークス(東京・芝1800メートル)、L・忘れな草賞(阪神・芝2000メートル)など、クラシック戦線を横目にニラんだ「別路線」からエントリーしてきた馬にも相応な注意が必要だろう。中でも新馬戦から芝・1800メートル以上のレースをあえて選択し、それなりの良績を残してきた馬は「アッと驚く一発」の可能性を秘める。
穴の宝庫という点では「追加登録」してきた馬にも要注意だ。出走には200万円の追加登録料が必要であり、それだけに陣営の「勝負度合い」は高いと言っていい。今年はパラディレーヌとタイセイプランセスの2頭がこれに該当するが、中でも「滑り込みセーフ」のタイセイプランセスは大いに気になる。
ちなみに、オークスが行われる東京競馬場は、土曜日の夜から日曜日の夕方にかけて降雨が予想されている。熟慮の末に絞り込んだ勝負馬が、稍重や重の雨馬場に対応できるか否か。過去の実績や血統も含めて、今年はこの点も大いに勘案の必要があろう。
(日高次郎/競馬アナリスト)