サッカーJ1の横浜・Fマリノスに再び激震が走っている。
オリジナル10の名門ながら、今季は絶不調。最下位が定位置となり、史上初の2降格の足音が近づく中、5月25日の鹿島アントラーズ戦で久しぶりに勝利を挙げて、クラブワーストの連敗記録を7でストップさせた。
ようやく小さな光が見えてきたと思われた矢先、5月29日に「松永成立GKコーチが電撃退団」とのニュースが報じられたのだ。サッカーライターが解説する。
「4月18日に就任1年目のスティーブ・ホーランド監督を解任すると、5月26日には安達亮アシスタントコーチが退任したばかり。そして今度は松永コーチでしょ。現場とフロントの間で意見交換がうまくいっていないのか、サポーターが心配するほど内部崩壊寸前の状態だと思います」
退団した3人の指導者のうち、特にショックが大きいのが、2007年からマリノス一筋だった松永コーチがチームを去ることだ。
「現役時代は日本代表として活躍し、1993年の『ドーハの悲劇』でゴールを守っていたGKです。経験値はピカイチで、引退後は指導者としての才能が開花しました。ここ数年は、無名の存在に近かったGK飯倉大樹や朴一圭らを育ててきました。マリノスのGKは第2、第3といえども、他のクラブであれば即レギュラーになれると言われる。なので、たとえ試合に出場できなくても、松永コーチに師事を仰ぎたいと、移籍を希望する選手がいるほどですね」
選手たちの信頼が厚い名伯楽だけに、最大の窮地の時だからこそ頼りたい存在だった。その「最後の砦」を失ったマリノスは、今後も厳しい降格争いを強いられることだろう。
(海原牧人)