89歳でこの世を去ったミスタープロ野球・長嶋茂雄と皇室の関係は深かった。
巨人といえば、ミスターがサヨナラ本塁打を放った、あの天覧試合が思い出されるが、現在の天皇は皇太子時代の1971年、巨人×阪急の日本シリーズを後楽園球場で観戦し、2006年と2009年にもWBCの第1次ラウンドを東京ドームで楽しんでいる。
現天皇はV9時代の末次利光のファンだったというが、同時にミスターとはとても親密だった。
なにしろ、かつてミスターは「皇太子とは飲み友達」と言っていたほどだ。報道関係者に明かしていたのは、こんな話だった。
「ん~、殿下と目白のおでん屋で何回も飲みましたよ」
「ん~、殿下から電話がかかってきて『長嶋さん、今日お暇ですか』と聞かれたので、行ってきました」
皇太子時代とはいえ、その後、天皇になる特別な人物が気軽にミスターを誘って飲みに行く。さすがミスタープロ野球でなければありえない、驚きのエピソードなのである。
(大田了)