近年は主力選手の相次ぐ他球団流出で、苦戦を強いられてきた西武ライオンズ。ところが新監督が就任した今季は一味違う。昨年は借金15で迎えた交流戦にも、貯金4で突入したのである。
借金45という歴史的惨敗の最下位からV字回復を目指す今季の西武。現時点で視界は良好のようだ。今井達也(27)、隅田知一郎(25)という左右両輪のエースが圧倒的な成績を挙げれば、シーズン頭から守護神として平良海馬(25)が君臨。助っ人のネビン(28)が4番として機能している上、ルーキーの渡部聖弥(22)も3番として活躍する。新戦力の当たりも大きかったと言えよう。
今季に向けては、鳥越裕介ヘッドコーチ(53)、仁志敏久野手チーフ兼打撃コーチ(53)、大引啓次内野守備・走塁コーチ(40)という外部の血を入れ込んだ。そして、生え抜きエース・西口文也監督(52)が満を持して就任。負け癖の付いたチームの体質改善に着手したのである。戦前は地味な印象ばかりが先行した指揮官だったが、結果が伴えば、おのずと采配の評判もすこぶるよくなる。
「昨年、交流戦前に休養に入った松井稼頭央前監督(49)は、直感で采配をしていました。1手先が読めないから自分で決断できず平石洋介ヘッドコーチ(45)、豊田清投手コーチ(54)らにお伺いを立ててオロオロするばかり。その姿を見せつけられる、選手たちとの連帯感も薄かった印象です。一方で西口監督は3~4手先を読んで、ズバズバと決断する勝負師。同じくエースとしてチームを支えた先輩で、公私ともに勝負師だった東尾修元監督(75)を彷彿させます」(スポーツ紙デスク)
先発が不調、限界だと思えば、回が浅くてもバッサリと降ろす。
「そこも東尾流と通じるところで、マウンドまで出向いた元エースにビシッと言われたら、選手も納得してベンチに引き下がります」(前出・スポーツ紙デスク)
その姿勢は打者に対しても一貫している。
「例えばセデーニョ(26)の2打席を見て、ストレートに対応できていないと感じれば、たとえ助っ人でも躊躇なくチャンスに代打を送ります」(前出・スポーツ紙デスク)
東尾流よろしく、勝負どころを見逃さない冷徹さを兼ね備えているというわけだ。
ちなみに現役時代の東尾氏といえば、朝まで酒を飲んでも完封をしてみせる。私生活を試合に持ち込まない信念があった。その部分も西口監督は引き継いでいるという。たとえ主戦力でも、生活態度が乱れていれば厳しく対応する。
「オープン戦の北海道遠征で、昨年チームトップタイの7本塁打を打った佐藤龍世(28)が移動に間に合いませんでした。朝の集合に現れないので、マネージャーが電話をしたら、チーム宿舎とは違うホテルに女性といた。次の遠征先は静岡で、北海道からは朝の1便しかないため、合流できませんでした。西口監督は3軍落ちを即決。以降、今季は一度も1軍に呼ばれていません」(球団関係者)
結果、佐藤不在の内野陣では、滝澤夏央(21)、元山飛優(26)、野村大樹(24)らがしのぎを削る大激戦となってチームを活性化させている。
このまま好調を維持できるか否か。西口監督の手腕を見届けたい。