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記事全文を読む→テレビカメラが捉えたトヨタ自動車「最重要会議」中国EV車に9倍の差をつけられて…
役員が商品の発売可否を決めるトヨタ自動車の最重要会議まで、あと4日。NHKスペシャル「インサイド・トヨタ」のカメラが捉えたのは、私服姿の技術者や管理職とみられる人々が資料を前に仕様を検討し、議論を続ける場面だった。
その映像にSNSは割れた。「これが世界一の現場の熱量だ」という称賛と「休日出勤を美談にするな」という批判が同時に噴き出した。さらに「好きでやっている人の働き方を、仕事が好きでない人の基準で叩くのはおかしい」という擁護論も出た。
番組が映したのは、その熱量だけではない。次世代カローラ開発の現場では、製造技術の担当者が設計側からの金型依頼を「無理です」とはねる場面があった。さらに、従来は順番に進めていたプラットフォームと車体上部の開発を並行させるよう上層部が求めると、エンジニアからは厳しい日程への反発が上がる。
中国EV勢に新車開発のペースで追いつけなくなるという危機感から開発期間の短縮を急ぐ経営側と、品質や生産性に責任を負う現場との緊張が浮かび上がる。番組に登場したトヨタの技術者は「世界で見たら中国に負けつつあると思っている」と語った。
数字を見れば、格差は鮮明だ。トヨタ・レクサスの2025年度(2025年4月〜2026年3月)の世界販売台数は1047万7000台で、HV(ハイブリッド車)を462万台を売り上げた一方、BEV(電気自動車)は24万3000台にとどまる。中国BYD社は2025年にBEVだけで約226万台を販売。集計期間が3カ月ずれるため厳密な比較はできないが、BEVの規模差は約9倍に上る。
世界のEV保有台数の約70%が中国に集中
国際エネルギー機関(IEA)の統計では、中国が2025年の世界EV用電池搭載量の約60%を占め、乗用車に加えてバス、トラック、電動二輪・三輪車などを含む世界のEV保有台数では、約70%が中国に集中する。
トヨタはHVと全体販売では世界販売首位の規模を誇り、単純に「負けた」と言える状況ではないが、BEVの販売規模では中国勢を追う立場にあり、商品開発の期間でも差をつけられている。
400人超が開発に関与し、複数の部門が合意を積み上げ、問題を事前に潰していく進め方がトヨタの強みだった。SNSには「日本の製造業が踏ん張る局面だ」と危機感を示す声がある。だが「これだけの人数を動員しなければ決まらないのか」という疑問も出た。
かつて日本車は価格だけでなく燃費や品質、生産効率を武器に、欧米メーカーの市場を奪った。現在は中国メーカーが電池からソフトウェアまで自国内で調達、新型車を短期間で投入する体制を築き、EV市場で日本勢を追い詰めている。
トヨタはHVで高収益を上げており、すぐに足元が揺らぐ話ではない。ただ、電動化と自動化が進む市場で今までのやり方を変えずに、勝ち続けられるのか。番組が映したのは、その問いを抱えながら議論を続ける現場の姿だった。
(ケン高田)
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