社会
Posted on 2026年09月19日 10:01

事故物件を原状回復 特殊清掃員が見た「変な部屋」(2)家を解体したら古井戸があって

2026年09月19日 10:01

 亀澤氏が「関西クリーンサービス」を創業したのは07年のこと。きっかけは亡き祖母の遺品整理だった。

「初めは家族だけで片づけていましたが、1年半かけても終わる気配がありませんでした。誰かがアルバムを見つけるたびに思い出に浸ってしまうので遅々として進まないわけです。そこで解体業者に依頼したんですが、作業員が土足で祖母宅を歩き回り、祖母が大切にしていた思い出の品を無造作に捨てられて‥‥。この時の悲しさやもどかしさが起業を決意した原体験になります」

 とはいえ、当時は特殊清掃という職種が確立されていない時代。遺品整理をセットで請け負うような解体業者でさえ、「会社が呪われる」と忌避することがあった。

「事故物件には親族でも足を踏み入れたがりません。誰もが人の死と対峙するのに恐怖心を抱いてしまいますからね。故人の生を感じる痕跡があればなおさらです」

 いわゆる「怪奇現象」にも事欠かない。亀澤氏は特殊清掃と並行して、事故物件や残置物の買い取り事業を手がけていて、

「いわくつき物件の買い取り相談は絶えません。中でも印象に残っているのが、『髪の長い女性の霊』が出るという築50年ほどの2階建て木造住宅。母と娘の親子が所有する物件で、彼女たちの親戚が次々に相続放棄して、回ってきたとのことでした。2人とも気味悪がっていました。私に会う1週間前に、娘さんが物件の外から窓を覗いたら、女性の霊が見えたそうなんです。しかも、その帰り道に自動車事故を起こしてしまったらしくて」

 後日、亀澤氏を含む3人で物件の現地調査に向かった。かれこれ20年以上人が住んでいない家屋はゴミ屋敷状態。古い仏壇、壁にかけられた8人の遺影、散乱した過去帳こそあれど、1日を通して霊を見ることはなかった。ところが異変はすぐに起きた。

「この日を境にお母さんが体調を崩して寝込んでしまいました。それで、『一刻も早く処分したい』というので、弊社で買い取ることに。仏壇、遺影、過去帳を適切に処分し、片づける中で出てきた誰のものかわからない『骨壺』も無縁仏として丁寧に供養しました。すぐに売りに出して買い手がついたのですが、ほどなくして、お母さんが体調を悪化させて亡くなったと聞きました。まだ50代だったそうです」

 新たな家主は事情を知った上で物件を購入。本人曰く「僕はそんなの信じないんで、問題ないですよ」とのことだったが‥‥。

「売却から半年後に物件の前を通ると、地鎮祭をした跡があったので、これから家を新築するものだと思っていました。ところが、1年経っても更地のままでした。近所の女性に聞いてみると、『(家主は)突然事故で亡くなった』とのこと。この時に知ったんですが、家を解体した時に古井戸が出てきたそうで‥‥」

 古くから井戸には神様が宿ると言われている。それだけに、埋める時には「息抜き」という儀式が必要なのだ。

「大きい石から順に砂利で埋めていき、最後に棒をさして井戸が息をできるようにします。これをしないと災いが起きると言われていますが、井戸がどう扱われていたのかは知る由もありません」

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