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記事全文を読む→「世代論」で読むプロ野球〈大谷・誠也世代・続〉(1)完成された大砲ではなかった
ハンカチ王子、松坂大輔ら甲子園のヒーロー世代を挟み、今回は再び「大谷・誠也世代」に照射しよう。大谷翔平の突出した活躍に注目されがちな世代だが、個の才能を誇る選手たちがいる。鈴木誠也─日本人右打者はメジャーでどこまで通用するのか。彼のチャレンジを改めて振り返る。
1994年度生まれの野球選手を語る時、どうしても最初に名前が出るのは大谷翔平である。投手としても打者としてもメジャーの常識を壊し、MVP級の活躍を重ね、野球という競技そのものの見方を変えてしまった。だからこの世代は、いつの間にか「大谷世代」と呼ばれるようになった。
だが、その呼び名だけでは、この世代の本質を捉えきれない。なぜなら、同じ94年度生まれには、もう一人、世界基準の打者へ到達した男がいるからだ。鈴木誠也である。
鈴木誠也は、大谷翔平のように高校時代から全国的な怪物として消費された選手ではなかった。二松學舍大附属時代は投手としても注目され、強肩と身体能力を備えた“素材型”の選手だったが、甲子園で大きな物語を残したわけではない。
2012年ドラフトで広島東洋カープから2位指名を受け、プロ入り後に外野手として才能を開花させていく。NPB公式の個人年度別成績でも、13年に一軍初出場を果たし、16年以降に広島の主力へと成長していく流れが確認できる。
面白いのは、鈴木が最初から「完成された右の大砲」として登場したわけではないことだ。むしろ彼のキャリアは、ポジションも役割も変えながら、自分の身体能力を打者として再編集していく過程だった。
投手としての強肩、走れる体、強く振れる下半身、逆方向にも長打を飛ばせる打撃。それらが少しずつ嚙み合い、やがて広島の4番、日本代表の中軸、そしてメジャーリーガーへとつながっていく。
大谷が「投手か打者か」という二者択一を壊した存在なら、鈴木は「日本人右打者はメジャーでどこまで通用するのか」という問いに挑んだ存在だった。
左打者ではない。俊足・巧打型でもない。内野安打で稼ぐタイプでもない。右投右打の外野手として、強く振り、長打を打ち、クリーンアップを担う。メジャーでこれを体現することは、日本人野手にとって、かなり難易度の高い挑戦だった。
だからこそ、鈴木を「大谷に隠れた選手」として片づけてしまうのはもったいない。隠れていたのではない。隣にいる大谷の光があまりにも強すぎただけで、鈴木自身もまた、日本野球が世界に送り出したトップクラスの打者だったのである。
ゴジキ:野球評論家・著作家。「データで読む甲子園の怪物たち」(集英社新書)ほか著書多数。「マネジメント術で読むプロ野球監督論」(光文社新書)が重版出来。発売前から重版となった最新刊「システムで読む甲子園」(カンゼン)が絶賛発売中。Yahoo! ニュースエキスパート。
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