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記事全文を読む→漫画家・弘兼憲史の男子厨房に入るべし!〈牛丼〉生卵と多めの紅ショウガを乗せグチャっと混ぜてかき込むべし
「牛丼」といえば、3大チェーン店「𠮷野家」「松屋」「すき家」が思い浮かびます。人それぞれ好みが分かれるもので、僕が昔からよく利用していたのは𠮷野家です。
というのも、その昔僕が会社を辞めて、漫画家デビューする前、テレビCMの絵コンテを描く仕事をしていた時期がありました。その制作会社が新橋にあり、行くたびに食べていたのが𠮷野家の牛丼だったのです。当時はお金がありませんでしたから、仕事帰りに食べる熱々の牛丼は格別なごちそうでした。
生卵と多めの紅ショウガを乗せ、グチャグチャっと混ぜて食べると最高にうまい! もう若い頃のように一気にかき込むような威勢のいい食べ方はできませんが、今でも時々、無性に食べたくなります。
このように牛丼は基本、店で食べるものという感覚が一般的ですが、家で作ることもあります。ここで「弘兼流・牛丼」のレシピを公開しましょう。
使う牛肉は特別に高価なものではなく、アメリカ産などの輸入牛で十分。ステーキのような肉の塊ではなく、細かな肉を使うのが肝要です。スーパーで1キロぐらいでまとめて売られている「切り落とし」がおススメ。脂が多く、最初からバラバラになっている状態が牛丼には向いているからです。
作り方は、玉ネギと牛肉を、水・砂糖・酒・醬油、みりんで煮るというごく普通のものですが、ここで弘兼流のひと工夫を凝らします。赤ワインを加えるのです。ポイントは、高級なワインではなく、スーパーで売っている安い料理用ワインを使用すること。それで信じられないぐらい味に深みが出ます。
アクを取りながら弱火で10分ほど加熱したところで、アツアツご飯の上に汁ごと盛り付ければ完成です。紅ショウガと生卵を添えるとさらにおいしさがアップします。温泉卵を添える人もいますが、僕は断然生卵派です。卵黄だけだと、ねっとり濃厚な味わいになりますが、少ししつこい。対して、卵白が加わるとツルっとした食感がご飯と絶妙に合う。牛丼と卵を混ぜて、猫まんまのように食べるのが一番好きなんです。
厳密にいえば、牛丼ではありませんが、六本木の名店「六花 RIKKA」では、コースの最後に炊き上げたご飯と和牛カレー、そして和牛のしぐれ煮が出てきます。
フレンチの精緻な技でA5ランクの和牛を芸術品とも呼べる料理にして提供してくれます。時に脂が重く感じるステーキだって、ペロリと平らげてしまいます。もう満腹だというタイミングで出てくるのが、先の和牛しぐれ煮なのです。これをご飯の上に乗せて口に含めば、甘辛いタレと和牛の脂、ご飯の甘みが溶け合わさる。そう、まるで牛丼のように‥‥。特別な時にしか行けない高級店ですから、定番の牛丼と並べては失礼なのはわかっています。でも、牛丼のタレ・脂・ご飯の組み合わせは最強だと改めて認識させられるのです。
先のレシピを参考に、皆さんも最強の牛丼を編み出してみてください。
弘兼憲史(ひろかね・けんし)1947年、山口県生まれ。早稲田大学法学部卒。松下電器産業(現パナソニック)に勤務後、74年漫画家デビュー。以来『課長 島耕作』『黄昏流星群』などヒット作を次々生み出している。07年には紫綬褒章を受章。
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