芸能

ポール・マッカートニーを逮捕した男…伝説のGメン「最後の手記」(4)Cにブツを渡したDの存在

20150430k

 捜索が始まって1時間。テーブルの上に置いてあった榮太樓の飴の空き缶から吸引したわずかな残りと、手製のパイプが発見された。

「これはキミのものかね」

 取締官の一人が聴くと、うなだれていたCは小さな声で、

「私のものです」

 と答えた。

 所持量が微量だったため、我々は彼女を逮捕せず、任意同行を求め、中目黒の事務所でさらに事情を聴くことにした。

「悪いことだと知っていました。いけないことをしてしまいました」

 Cは取り調べに素直を応じ、反省の色を見せた。では、ブツの入手先はどこか。Cは恋人のバンドマスターから譲渡され、一緒に吸ったと自供した。

「榮太樓の飴の缶もバンドマスターから入手したのか」

 我々が追及すると、

「1年前、渋谷の公会堂で共演した女性歌手Dからもらったものです。その歌手から『今持っているマリファナを処分してもらいたい。タダでいい。あげようか』と言われて、欲しいと答えてしまいました」

 そんなやり取りがあった2カ月後、再び共演した際、Cは、舞台の袖の通路で榮太樓の缶を渡されたという。

 その当時、大麻事件は5グラム以上所持していた場合に逮捕するというのが我々の常識。Cは所持していた大麻が微量であることに加え、吸引回数が少なかったことから書類送検にとどまった。

 しかし、Cに大麻を譲渡した歌手Dは放ってはおけない。Cのことを新聞で知ったらブツを処分してしまうかもしれない。我々は下町にあるDの自宅を急襲してブツを押収した。Dは逮捕、起訴され、執行猶予のついた判決を受けた。

 それはともかく、中目黒の事務所で取り調べたCは聴取が終わったあと、その足で病院に入院してしまったのだ。翌日確認に出かけると、ベッドで寝ているのは、顔の特徴から、紛れもない本人。病院に駆け込んだのは本人の機転か、それとも事務所の指示か、それはわからないが、よほど緊張を強いられたと見える。私は苦笑を禁じえなかった。

◆プロフィール 小林潔(こばやし・きよし) 元厚労省関東甲信越厚生局 麻薬取締部捜査第1課長 1942年千葉県生まれ。拓殖大卒業後、厚生省関東信越地区麻薬取締官事務所に奉職。数々の事件を手がけ、伝説の麻薬取締官の名をほしいままにする。著書に「ガサ!麻薬Gメン捜査ドキュメント」(徳間書店)、「白い粉の誘惑~麻薬Gメン捕物帖~」(宝島SUGOI文庫)など。

カテゴリー: 芸能   タグ: , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<マイクロスリ―プ>意識はあっても脳は強制終了の状態!?

    338173

    昼間に居眠りをしてしまう─。もしかしたら「マイクロスリープ」かもしれない。これは日中、覚醒している時に数秒間眠ってしまう現象だ。瞬間的な睡眠のため、自身に眠ったという感覚はないが、その瞬間の脳波は覚醒時とは異なり、睡眠に入っている状態である…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<紫外線対策>目の角膜にダメージ 白内障の危険も!?

    337752

    日差しにも初夏の気配を感じるこれからの季節は「紫外線」に注意が必要だ。紫外線は4月から強まり、7月にピークを迎える。野外イベントなど外出する機会も増える時期でもあるので、万全の対策を心がけたい。中年以上の男性は「日焼けした肌こそ男らしさの象…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<四十肩・五十肩>吊り革をつかむ時に肩が上がらない‥‥

    337241

    最近、肩が上がらない─。もしかしたら「四十肩・五十肩」かもしれない。これは肩の関節痛である肩関節周囲炎で、肩を高く上げたり水平に保つことが困難になる。40代で発症すれば「四十肩」、50代で発症すれば「五十肩」と年齢によって呼び名が変わるだけ…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
【戦慄秘話】「山一抗争」をめぐる記事で梅宮辰夫が激怒説教「こんなの、殺されちゃうよ!」
2
巨人で埋もれる「3軍落ち」浅野翔吾と阿部監督と合わない秋広優人の先行き
3
神宮球場「価格変動制チケット」が試合中に500円で叩き売り!1万2000円で事前購入した人の心中は…
4
永野芽郁の二股不倫スキャンダルが「キャスター」に及ぼす「大幅書き換え」の緊急対策
5
「島田紳助の登場」が確定的に!7月開始「ダウンタウンチャンネル」の中身